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【立川志ら乃のスーパーマーケット徒然草】スーパーのクレーム対応の”正解”とは?

「クレーム」と「アドバイス」と「いちゃもん」の線引きって難しい。

 テレビ東京の人気経済番組「カンブリア宮殿」なんかを見ていると、「クレームへの丁寧な対応が企業の成長につながる」的なニュアンスの話がよく出てくる。企業に限ったことではなく、「自分のことは自分が一番わかっていない」ということは誰にでもあるもので、クレームや指摘を「アドバイス」として捉えて、どれだけ自分のものにしていくかというのが自身の成長につながるのだろうなぁ……などと誰でも言えそうな人生訓が頭をよぎったりする。

 ただ、確かに耳の痛いことと向き合うことが向上につながることはあると思うけれど、時にはただの言いがかりのようなクレームもある。「アドバイス」と「クレーム」と「いちゃもん」をどのように線引きして、対応しないという選択肢も含め、どう対策を立てていけばいいのだろうか。

 さて先日、とある場所に行く用事があって、「あんまり行かない場所だからスーパーがあれば寄りたいな」と検索をかけてみた。すると、今年初めにビル建て替えのために閉店したとあるチェーンの店舗が、仮店舗で営業を再開していることが判明。若い頃足しげく通っていた思い入れのあるチェーンなので、足を運んでみた。

 記憶がちょっとあやふやだけれども、そのチェーンでは確か「メンチカツコロッケ」が名物の1つだったなと思い出し、総菜コーナーへ。閉店間際だったこともあり、メンチカツはすでに売り切れていたけれど、2割引きのシールが貼られていた「メンチカツサンド」をカゴに入れた。

「半額シールを貼るよう店員に言わないでください」

 とりあえず戦利品は確保したので、なんとなく店内を一巡している間に、総菜のコーナーに人だかりが。店員さんが半額シールを貼りだしたようだ。遠巻きにその様子を見ていたが、一気に商品が消えていった。

 「メンチカツサンドももう少し待てば2割引きじゃなくて半額で買えたかも」と思ったりもしたけど、まぁそれはそれ。ふと、半額シールが貼られた残り少ないお総菜を見ていると、さっきは気が付かなかった貼り紙が目に飛び込んで来た。

 「店内での撮影はお断り致します」
 「すでにカゴに入れた商品に『半額シール』を貼るよう店員に言わないでください」

 正確な文言は覚えていないが、およそこんなことがびっしり張り紙には書かれていた。なかなかな”怒り”を感じる内容だったことは確かだ。

 そういう人が多い店舗なのか…。いや待てよ? この貼り紙、以前行った同じチェーンの店でも見かけた気がする。カゴに先に商品を入れておいて値引きが始まったら「これにも貼って」という、スーパーでの禁忌事項”カゴキープ”はどの店舗でも悩ましい問題なのだろう。

 現場の方が心を痛めながら対応するのだろうけれど、どんな対応をするのが正解なのだろうか。「全員が全員そういう客じゃないんだから、波風立てるな」と指示するのか、この店のように厳しめに対処するのか…。

 話は変わるが、スーパーのレジで、「只今このレジは研修中のためお急ぎの方は他のレジにお並び下さい」という案内を見ることがちょいちょいある。あれはとてもいいと思う。とくにせっかちな客とかが新人店員に「なんでそんなこともできないんだ!」みたいな”お怒りモード”を発令することがあるが、それをうまくかわすことができそうだ。

 で、貼り紙に話しを戻すと、お客に「〇〇するな」よりも「〇〇の場合店員が〇〇させて頂くことがあります」という店員の行動パターンも示してくれた方がいいのではと思った。少なくとも私があの店舗で働くのであれば、そういう場合の対応の仕方を教えて欲しいと思ったからだ。

 ただ「あやまりゃいいんだよ!」とか頭ごなしに指示されたらそんな職場は絶対辞めてしまう。クレーム対応って、意外と人の本質が見えてくるものなのかもしれない。

立川志ら乃

1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。寄席やイベントなどのスケジュールは下記Twitter・ブログをご参照ください。

Twitter:@tatekawashirano

ブログ:https://ameblo.jp/st-blog/