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手づくりスイーツに生鮮総菜… 都心部侵攻で進化するベルクの付加価値商品

 ベルク(埼玉県/原島一誠社長)は8月31日、神奈川県横浜市に「ベルクフォルテ横浜川和町店」(横浜川和町店)をオープンした。同社は近年、従来の強みである高い生産性や標準化を追求する一方で、店内調理の付加価値を高めた商品の販売にも力を注いでいる。横浜川和町店の売場から、その最新の商品政策をレポートする。

8月31日にオープンした「ベルクフォルテ横浜川和町店」

「いずれは横浜市内の
すべての区に出店したい」

 横浜川和町店は、横浜市営地下鉄グリーンライン「川和町」駅から南西へ約200mの駅前に立地。都築区役所につながる、区の主要道路「区役所通り」沿いで、クルマでのアクセスも良好だ。周辺にはマンションが立ち並び、若い子育て世代が多く居住している。

 同店の出店によりベルクの店舗数は全体で127店、神奈川県では6店、横浜市内では2店となった。これまで埼玉県を中心に店舗展開してきたベルクだが、近年は東京都寄りの県南部や千葉県など、これまでと異なるエリアへ商勢圏を広げている。ベルクの原島一誠社長は「神奈川県のなかでも横浜市は激戦区だが、いずれはすべての区に出店したい」と述べている。

 しかし、人口が増加し肥沃なマーケットが広がる横浜市内は競争も激しい。横浜川和町店の周辺でも、店舗から半径2㎞圏内にオーケー(神奈川県)の「川和町店」と「港北店」があるほか、店舗から南東約2.5kmにはショッピングセンター(SC)の「ららぽーと横浜」が営業している。

 こうしたなかベルクは今回、3439坪という広い敷地面積を獲得できたことから近隣型SCの「フォルテ」として横浜川和町店を出店。売場面積は約560坪とベルクの標準サイズよりもやや小ぶりながら、約1万5000SKUと幅広い品揃えを提供する。

まるで専門店!
付加価値型商品の提案

 横浜川和町店でとくに注目したいのが、店内加工の商品が充実している点だ。ベルクが強みとする高い生産性や標準化を追求する一方で、近年は目的買いを促すべく、店内で手間暇をかけて加工した付加価値型の商品の提案にも力を入れている。

 なかでも売場で目をひいたのが、総菜・ベーカリー売場で提案するスイーツだ。
 たとえば、総菜売場の最終コーナーでは、専門店のように装飾を施した売場で、店内手作りのシュークリームやプリン、ティラミス、チーズケーキなどを販売している。

総菜売場で展開するスイーツ売場
大容量のティラミスやチーズケーキ
シュークリームは、季節の素材である、芋や栗を使った商品も展開している

 また、隣のベーカリー売場でも、「生ドーナツ」といったトレンドを反映した商品や、「コストコ」で販売しているような大ぶりのマフィンのセット、フレンチトーストなども提供した。

大ぶりのマフィンのセット

生鮮総菜も
大きくコーナー化

 また、ベルクも生鮮素材の総菜化を推進している。横浜川和町店の精肉と鮮魚売場では、店頭で扱う素材を使った肉総菜や魚総菜を集約し、主通路上でコーナー化。多くの来店客が足をとめていた。

主通路上では、肉総菜や魚総菜を集約しコーナー化している
店頭の素材を使った魚・肉総菜が所狭しと並ぶ

商品の価値を
POPやSNSで発信

 横浜川和町店では、これら付加価値型の商品を、インパクトのあるPOPを使って魅力を伝えているのも特徴だ。ベルク業務サポート部の小達真氏は「近年は、魅力的な商品を開発するだけでなく、SNSや店頭のPOPでその価値をしっかり伝えられるようにしている」と説明する。

POPを使って商品の価値を伝えることにも力を注ぐ

 近年、商勢圏を広げて、横浜市内のように若い世代も多く住む都心部へも出店を進めているベルク。そうしたなかで、味や見た目にもこだわった独自商品も兼ね備えた店へと進化を遂げている。こうした新しいMDは、ベルクが今後、より都心部へ侵攻するうえで存在感を発揮していきそうだ。