スーパーの歌聞きに県外から来店者続々の怪 西川貴教さんとコラボ実現、平和堂のSNS活用術

2022/08/26 05:55
    森本 守人 (サテライトスコープ代表)
    Pocket

    原曲を生演奏で忠実に完コピ

    コラボをきっかけに西川さんと平和堂の平松社長との対談も実現
    コラボをきっかけに西川さんと平和堂の平松社長との対談も実現

     今年に入り動き出したプロジェクトだが、西川さんは既存のカラオケをバックにただ歌ったのではない。平和堂では本格的なサウンドをめざし、カラオケの制作からスタートした。

     最近は、コンピューターを使えば比較的、手軽に、低コストで楽曲を作ることが可能。しかし今回のカラオケは、イントロのブラスセクションを含めすべて生演奏にこだわった。「原曲を忠実に再現、サビの部分ではテンポが速まっている部分など生ならではのノリまで完コピした」(販促担当者)。

     こうして完成した特別バージョンの「かけっことびっこ」は、平和堂創業日にあたる今年31日から12月末までを期間とし、平和堂全店で流れている。

     来店客からは好評だ。いつもと違う歌声に驚くお客がいる一方、すぐに西川さんだと気づいて聞き入る人など反応は多様である。SNS上では「めっちゃパワフル!元気でるね」「スーパーの平和堂でも西川くんの歌う平和堂ソングが流れてて楽しかった😆さすが滋賀の偉人」などの書き込みが見られる。

     そのなか情報を聞きつけ、イメージソングを聞くためにわざわざ来店する熱心な人も少なくない。今春以降、滋賀県の各所で「T.M.R. LIVE REVOLUTION’21 -VOTE-」ライブを行なった際には、 他県からもファンが平和堂に押し寄せた。

     いずれも近くに平和堂がないエリアに居住する人たちである。来店するとスピーカーの下に立ち、静かに鑑賞するファンもいる。その後は店内で買い物をしたとの写真付きのツイートも多数見られる。つまり、わざわざ県外の人が平和堂の歌を聞きに来る怪現象が起きているわけだ。

     今回のコラボをきっかけに平和堂の平松正嗣社長との対談も実現した。YouTubeにはその時の様子を収めた動画がアップされている。

     幅広いファンを持つ西川さんがイメージソングを歌ったことで、他県で初めて平和堂という企業の存在を知った人もいるようで、同社では手応えを得ているようだ。

     振り返れば、そもそものきっかけは平和堂がTwitterでつぶやいたことに始まる。それが思わぬ展開となり、今回のコラボにつながった。

     今後も平和堂ではTwitterはじめSNSに力を入れる方針だ。販促担当者は、「単に販促のためだけではなく、お客さまとの関係を強化するツールとしても活用していきたい」と話している。

    1 2

    記事執筆者

    森本 守人 / サテライトスコープ代表

     京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

    © 2024 by Diamond Retail Media

    興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
    DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

    ジャンル
    業態