ローランド・ベルガーが予測する、消費社会の未来と 3つのドライバーとは
多様化する消費者の変化
昨年来12回にわたりお送りしてきた本連載「グローバルリテーラーの針路」も、今回で最終回となった。連載の最後に、私たちが慣れ親しんだ消費社会が将来どのように変わっていくのか、その結果世界の消費財・小売企業にどのような影響を与えるのか、考察したい。
未来を予測することは難しいが、未来に大きく影響するドライバーを特定し、その振れ幅を分析することで、ありうるシナリオを複数描き、対応策を検討することはできる。経営学ではそのような手法を「シナリオプランニング」という。今のところ消費社会の未来に大きく影響を与えるドライバーは大きく3つある。
第1のドライバーは、消費者の変化である。コロナ禍は消費者の価値観の変化を促進し、日本では消費者セグメントの分化が足元で進んでいる。もともと日本では、筆者が勤めるローランド・ベルガーで「フォロアー層」と呼んでいる、価値観が希薄で世の中のトレンドに流されやすいセグメントが約半分を占め、巨大なマスマーケットを構成していた(図❶)。ところが、最新の調査では、このフォロアー層が12%にまで落ち、価値観が明確なセグメントへの分化が進んでいる(図❷)。
ここで注目すべきポイントは3つある。第1に、ミニマリスト層の拡大である。倹約志向のミニマリスト層は5年前に15%であったが足元では20%にまで増加している。このペースでミニマリスト層が増加すると、将来国内消費が停滞し、小売企業は大きな影響を受ける可能性がある。
第2に、社会志向層の