第1回 マーケティングデータを使う目的、わかりますか?
マーケティングデータは何のためにあるのか?
それでは、マーケティングデータを概観することから始めましょう(図表)。イチから始めるにあたり、核となるデータをリストアップしました。
リストを見てわかるとおり、データにはたくさんの種類があります。経済センサスや家計調査など無料で手に入るデータから、雑誌の記事検索を活用して、「日本酒の市場規模の推移」を探す方法までさまざまです。ただ、これをもとに自分の会社のビジネスがどのような位置にあるのかを把握するのはほぼ不可能なのです。というのも、ここで扱われている製品と自分の商品の分類の定義(カテゴリーといいます)が違ったり、そもそも出荷金額なのか、消費者が購入している金額を表すのかが時によってちがったりするからです。最大の問題は、これがわかったとしても、自社のビジネスにおいて必要なタイミングで必要な時期のデータが手に入ることはまずないということです。これでは意思決定に使うことはできません。
そのため、「市場をタイムリーに把握できる」データを購入されている会社が多いと思います。具体的には、さまざまな調査会社やマーケティングデータ会社が提供するPOSデータや購買パネルデータ、ID-POSデータなどが購入できるものとしては代表的なものです。
そもそも、マーケティングデータを活用する目的は何でしょうか。それは、意思決定のためです。経営判断から担当者が企画をする際にアイデアを選定することまで、さまざまなレベルの意思決定にマーケティングデータを活用するのです。筆者はできるだけ多くのマーケティングデータをもとにした意思決定のほうが、会社の方向性にとって正しく、創造性も発揮できるように導けると考えています。なので、データは多く持つに越したことはないのですが、データを収集するコストや、分析するための手間とのバランスも考えなければなりません。どこまでこだわるかは経営者の判断の範疇となります。
次回は、マーケティングデータの最も基本ともいえる店頭販売データについて、詳しく解説していきます。