多様な価値観が入り交じる大阪・西成エリア、人を惹きつけてやまない西成グルメで一杯
濃厚な味わいのホルモンで一杯
さて夕方になったので一杯やるか。今回、行こうと計画していたのは、西成の有名ホルモン店「やまき」。だが、あいにくの休みだったため、並びで営業していた「ホルモン 航」へ。何人かの先客が飲んでいる姿が楽しそうで、ふらっと入る。
最初、要領がわからず、ビールケースを利用した簡易の立ち飲みテーブルの前に立っていた。すると横にいたお客が店の主人に「こちら、お客さん」と合図してくれ、店の奥へと移動する。
壁に貼ってあるメニューに一通り目を通した後、「ミックスホルモン」(400円)と「白ネギ焼き」(200円)、そして「チューハイレモン」(300円)を注文。「ホルモンは、にんにく入れますか」と聞かれ、「お願いします」と答える。
待つこと数分、運ばれてきたのがこれである。完璧なルックスではないか。割り箸でホルモンをつまんで口へ。タレがにんにくと混じり合い、何とも言えない濃厚な旨味が広がる。レモン酎ハイを多めに含み、そのままゴクリと喉へと流し込んだ。
1杯目があっという間に空になったので、今度は「チューハイライム」(300円)を頼む。そしてミックスホルモンで飲酒を再開した。
「あぁ、これは無限に飲んでしまうわ」──。危険を察知した私は、会計を済ませて通りへ飛び出した。
続いて2店目へ。選んだのは、商店街「動物園前一番街」の一角にある居酒屋「能登屋」である。コロナ禍を通じ、周辺の店は多くが入れ替わっているそうだが、この店は50数年も同じ場所で営業しているという。
ビール、そしておでんを数種注文した。店を切り盛りしている年配の女性、またカウンターで座っている数人と男性客と話をしながらしばらく過ごした後、ホテルへ戻る。部屋では、急ぎの原稿を執筆したが、意外に捗ったのは前回の記事で書いた通りだ。
今回、「大阪西成の安宿は出張に使えるのか?」を検証した。安く、狭い部屋ではあるが仕事もできる。さらに楽しい店が多いという環境もあって、好みが分かれるだろうが、なかなか面白いと感じた。
翌朝、ホテルをチェックアウトした私は、地元の京都へ戻る前、周辺を少し散歩した。朝から営業している飲食店も多く、「朝食」を出すところもある。某店の前に立っていた手書きのスタンド看板では、メニューのひとつに「西成モーニング」を紹介していた。
興味を持ち、近寄ると「生ビール or 酎ハイ or 酎ハイ or ハイボール ゆで玉子・1品」とある。このメニューで、元気よく1日のスタートを切る人もいるのだろうか。
刺激的な街だった。あれこれ感慨深い思いを胸に、私は帰りの電車に乗った。