多様な価値観が入り交じる大阪・西成エリア、人を惹きつけてやまない西成グルメで一杯

2023/12/01 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
Pocket

濃厚な味わいのホルモンで一杯

 さて夕方になったので一杯やるか。今回、行こうと計画していたのは、西成の有名ホルモン店「やまき」。だが、あいにくの休みだったため、並びで営業していた「ホルモン 航」へ。何人かの先客が飲んでいる姿が楽しそうで、ふらっと入る。

有名ホルモン店「やまき」が休みだったため、並びで営業していた「ホルモン 航」へ

 最初、要領がわからず、ビールケースを利用した簡易の立ち飲みテーブルの前に立っていた。すると横にいたお客が店の主人に「こちら、お客さん」と合図してくれ、店の奥へと移動する。

 壁に貼ってあるメニューに一通り目を通した後、「ミックスホルモン」(400円)と「白ネギ焼き」(200円)、そして「チューハイレモン」(300円)を注文。「ホルモンは、にんにく入れますか」と聞かれ、「お願いします」と答える。

 待つこと数分、運ばれてきたのがこれである。完璧なルックスではないか。割り箸でホルモンをつまんで口へ。タレがにんにくと混じり合い、何とも言えない濃厚な旨味が広がる。レモン酎ハイを多めに含み、そのままゴクリと喉へと流し込んだ。

完璧なルックスの「ミックスホルモン」(400円)
タレがにんにくと混じり合い、何とも言えない濃厚な味わい

 1杯目があっという間に空になったので、今度は「チューハイライム」(300円)を頼む。そしてミックスホルモンで飲酒を再開した。

 「あぁ、これは無限に飲んでしまうわ」──。危険を察知した私は、会計を済ませて通りへ飛び出した。

2杯目の「チューハイライム」(300円)

 続いて2店目へ。選んだのは、商店街「動物園前一番街」の一角にある居酒屋「能登屋」である。コロナ禍を通じ、周辺の店は多くが入れ替わっているそうだが、この店は50数年も同じ場所で営業しているという。

 ビール、そしておでんを数種注文した。店を切り盛りしている年配の女性、またカウンターで座っている数人と男性客と話をしながらしばらく過ごした後、ホテルへ戻る。部屋では、急ぎの原稿を執筆したが、意外に捗ったのは前回の記事で書いた通りだ。

創業50年超の居酒屋「能登屋」
ビール、そしておでんを数種注文

 今回、「大阪西成の安宿は出張に使えるのか?」を検証した。安く、狭い部屋ではあるが仕事もできる。さらに楽しい店が多いという環境もあって、好みが分かれるだろうが、なかなか面白いと感じた。

 翌朝、ホテルをチェックアウトした私は、地元の京都へ戻る前、周辺を少し散歩した。朝から営業している飲食店も多く、「朝食」を出すところもある。某店の前に立っていた手書きのスタンド看板では、メニューのひとつに「西成モーニング」を紹介していた。

 興味を持ち、近寄ると「生ビール or 酎ハイ or 酎ハイ or ハイボール ゆで玉子・1品」とある。このメニューで、元気よく1日のスタートを切る人もいるのだろうか。

手書きのスタンド看板にあった「西成モーニング」

 刺激的な街だった。あれこれ感慨深い思いを胸に、私は帰りの電車に乗った。

1 2

記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態