検証! 大阪・西成の安宿はビジネスの出張に使えるのか?

2023/08/04 05:55
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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備え付けのテーブルで原稿を書く

 6月下旬某日、私は、ビジネスホテル加賀の前に立っていた。入口すぐの受付で、チェックインの手続きを一通り済ませ、請求された宿泊料は1510円──。クレジットカードで決済したが、冷静に考えると、この価格、スゴクないですか。

 驚くのはまだ早い。サービスで、近くにある銭湯の入浴券をつけてくれるのだ。経営している会社が同じとの説明だったが、普通に利用すれば大人料金は490円なので、実質1000円ちょっとで宿泊できることになる。

 館内は土足厳禁で、これは西成のホテル“あるある”だ。玄関でスリッパに履き替え、靴を手に部屋へ移動するシステムになっている。各部屋の扉は鉄製で、旧式の集合住宅のようである。

館内は土足厳禁で、これは西成のホテル“あるある”。玄関でスリッパに履き替え、靴は部屋まで持って行くシステムだ
各部屋の扉は鉄製で、旧式の集合住宅のようだ

 渡された鍵を使い、いよいよ入室する。私の部屋は和室で、畳が縦横に組み合わせてあり広さは3畳。部屋にある設備は、エアコン、テレビ、そして折りたたみ式の小さなテーブルが1台置いてある。やや狭い感じはするが、くつろいで寝るだけならこれで十分だと前向きに解釈する。

館内は土足厳禁で、これは西成のホテル“あるある”。玄関でスリッパに履き替え、靴は部屋まで持って行くシステムだ

 そうそう全館でWi-Fiが使えるため、パソコンを持参すれば仕事ができる。私はこの部屋で急ぎの原稿を書いたが、結構捗ったことを記しておく。

全館でWi-Fiが使えるため、パソコンを持参すれば仕事ができる。私はこの部屋で急ぎの原稿を書いたが、結構捗った。ただ私の部屋はたまに電波が不安定だったことはつけ加えておく

 客層だが、館内を歩いた印象では、いかにも労働者のおじさんという人は見かけず、観光客が多い感じだった。

 ホテルの公式サイトを見ると、女性限定プランも提供、さらに英語、中国語、韓国語でも表記し、新しい客層を積極的に取り込もうとする姿勢を感じる。実際、利用につながっており、館内で20代後半から30代前半の女性がうろうろしているのを複数見た。

 チェックインは12時で、チェックアウトは10時。中でもチェックインの時間設定が気に入った。早めに着き、荷物を置いて外出するのもいい。ちなみに私は夕方4時に入り、その後、すぐに街へ繰り出し、ホルモン屋とか居酒屋を回って、一人でかなり楽しんだ。これについてはこの記事の続編を読んでほしい。

 肝心なのは布団。当然のことながら清潔で、嫌な感じはしなかった。朝までぐっすり寝られて快適だった。

奥から入口側を見たところ。各室にエアコン、テレビが備え付けられている。フロントに申し出れば、ドライヤーや延長コードなどを無料で貸してくれる

 いや、西成のホテル悪くないですよ。和室が気になるという人は、少し広くて“高級”な洋室を選ぶといいだろう。といっても4.5畳、2200円である。

窓からの風景

 総じて施設は老朽化しているものの、大浴場(男性専用)、シャワールームはきちんと掃除されており、普通に使用するにはまったく問題がない。なお銭湯へは、翌朝に行った。昨年8月、リニューアルしたとのことで、経営への意気込みを感じた。

 結論は、大阪西成の安宿は出張で使うことができる。理由をおさらいをすれば、交通アクセスに優れるほか、安いため、会社の経費に優しい。館内はWi-Fiが使え、部屋には仕事ができるテーブルも用意されている。また近くには魅力的な飲食店がたくさんある。これ以上、何が必要と言うのだろうか。

 いろいろ論じたが、宿泊代がびっくりするほど安いので、「西成の宿に泊まってきた」というだけでも話のネタになり十分に元が取れるだろう。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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