検証! 大阪・西成の安宿はビジネスの出張に使えるのか?
備え付けのテーブルで原稿を書く
6月下旬某日、私は、ビジネスホテル加賀の前に立っていた。入口すぐの受付で、チェックインの手続きを一通り済ませ、請求された宿泊料は1510円──。クレジットカードで決済したが、冷静に考えると、この価格、スゴクないですか。
驚くのはまだ早い。サービスで、近くにある銭湯の入浴券をつけてくれるのだ。経営している会社が同じとの説明だったが、普通に利用すれば大人料金は490円なので、実質1000円ちょっとで宿泊できることになる。
館内は土足厳禁で、これは西成のホテル“あるある”だ。玄関でスリッパに履き替え、靴を手に部屋へ移動するシステムになっている。各部屋の扉は鉄製で、旧式の集合住宅のようである。
渡された鍵を使い、いよいよ入室する。私の部屋は和室で、畳が縦横に組み合わせてあり広さは3畳。部屋にある設備は、エアコン、テレビ、そして折りたたみ式の小さなテーブルが1台置いてある。やや狭い感じはするが、くつろいで寝るだけならこれで十分だと前向きに解釈する。
そうそう全館でWi-Fiが使えるため、パソコンを持参すれば仕事ができる。私はこの部屋で急ぎの原稿を書いたが、結構捗ったことを記しておく。
客層だが、館内を歩いた印象では、いかにも労働者のおじさんという人は見かけず、観光客が多い感じだった。
ホテルの公式サイトを見ると、女性限定プランも提供、さらに英語、中国語、韓国語でも表記し、新しい客層を積極的に取り込もうとする姿勢を感じる。実際、利用につながっており、館内で20代後半から30代前半の女性がうろうろしているのを複数見た。
チェックインは12時で、チェックアウトは10時。中でもチェックインの時間設定が気に入った。早めに着き、荷物を置いて外出するのもいい。ちなみに私は夕方4時に入り、その後、すぐに街へ繰り出し、ホルモン屋とか居酒屋を回って、一人でかなり楽しんだ。これについてはこの記事の続編を読んでほしい。
肝心なのは布団。当然のことながら清潔で、嫌な感じはしなかった。朝までぐっすり寝られて快適だった。
いや、西成のホテル悪くないですよ。和室が気になるという人は、少し広くて“高級”な洋室を選ぶといいだろう。といっても4.5畳、2200円である。
総じて施設は老朽化しているものの、大浴場(男性専用)、シャワールームはきちんと掃除されており、普通に使用するにはまったく問題がない。なお銭湯へは、翌朝に行った。昨年8月、リニューアルしたとのことで、経営への意気込みを感じた。
結論は、大阪西成の安宿は出張で使うことができる。理由をおさらいをすれば、交通アクセスに優れるほか、安いため、会社の経費に優しい。館内はWi-Fiが使え、部屋には仕事ができるテーブルも用意されている。また近くには魅力的な飲食店がたくさんある。これ以上、何が必要と言うのだろうか。
いろいろ論じたが、宿泊代がびっくりするほど安いので、「西成の宿に泊まってきた」というだけでも話のネタになり十分に元が取れるだろう。