どんな仕事にも適用できる セブン&アイ創業者、伊藤雅俊さんの名言「前始末」の極意とは

2023/02/23 05:55
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「料理は段取りで決まる」という言葉もあり、熱いものを熱いうちに、冷たいものを冷たいうちに、出さねばならない料理人にとって段取りとは「いろはのい」。つまり、“皿洗い”から始めるというのは、実に実践的な修行方法なのである。

 ささやかながら私も「冷蔵庫理論」と称して、編集長の時代には、「前始末」の徹底を推奨してきた。

帰宅後に冷えたおいしいビールが飲みたければ、出勤前に冷蔵庫に入れればいい、という単純なものだ。

 出勤前に冷蔵庫にビールを入れることは、短時間で完了する、とても簡単な作業であるのだが、たったこれだけを事前にするしないで帰宅後の生活満足はまったく異なる。

 同じように、企画、執筆依頼、アポ取り、取材、執筆…すべて計画的に前倒しでこなせば、締め切り前にあたふたすることはないし、ミスも防げる、事態の急変にも対応できる、などいいことづくめだ。

 流通業界に広がる前始末商法とは

 最近は、流通業界にも「前始末」的な商法が定着してきた。

「予約販売」である。

「ボジョレーヌーボー」「クリスマスケーキ」「おせち料理」「年賀状印刷」「恵方巻き」…。

 特に季節イベントの商材は、販売面で競合他社に先行できるだけでなく、閑散期の工場を利用することでコストを減らし、需要予測の精度アップで廃棄削減にもつながるなど相当なメリットがある。

  伊藤さんは、前著にて「お客さま一人一人に対する心くばりは、なににも増して重要な前始末ではないでしょうか。これなくしては、商売は成り立たないとさえ思います」と結んでいる。

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