大阪ミナミ、あの著名作家も愛した名店でいただく個性派カレー
串カツ、ビール、カレーでフィニッシュ!
時間は午前11時40分だったが、さすが人気店、ほぼ満員である。しかしラッキーにも席を立つお客と入れ替わりですぐに座ることができた。
早速メニューに目を通す。悩んだ挙句、まずは「串かつ(牛肉)」を食べながらビール、そして「名物カレー」でフィニッシュするストーリーが浮かんだ。機敏に動く女性店員を呼び止め、注文を伝えた。

料理が来る間、店内を観察する。来店客は多様で、女性の1人客のほか会社員らしき男性、またアジアからの観光客も一定数見られた。大半がカレーを注文している点で共通しており、皆さん黙々と食べている。
目を引いたのは奥の壁に掲げてある額縁に入った写真だ。織田作之助がペンを持ち、頭を抱え悩みながら執筆している。そこに黄色の文字で「自由軒本店」「織田作文学発祥の店」と書かれている。

さらに「トラは死んで皮をのこす」「織田作死んでカレーライスをのこす」ともある。これは岐阜県で演説中の板垣退助が暴漢に刺された際、発言した「板垣死すとも自由は死せず」に由来すると思われる。当時、自由という言葉が流行っており、また創業者の出身地は岐阜県。これらを背景に、屋号、さらに額縁のキャッチコピーができたと推測できる。
そうこうしている間に串かつとビールが私の目の前に届けられた。テーブルにある特性ソースをかけ、いただく。うん、おいしい。

そしてしばらくして主役のカレーがやってきた。最初からライスとカレーが混ぜてあり、凹んだ部分に生卵が乗せてある。

最初は、スプーンでカレーだけすくって口へ。想像していたよりスパイシーだ。その後、卵を割って“味変”すると、とてもマイルドになった。これもいい。半分ぐらいになったところでソースをかけると、味に深みが増した。ひとつの皿に盛ってあるカレーだが、いくつもの味のワールドが広がりを感じられるのが楽しい。飲食店の激戦地、大阪で長く愛されている理由がわかったような気がした。

すべてをいただき、もう満腹である。入口の方に目をやると、行列ができている。私は満足な気持ちで、店を後にした。






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