福岡のソウルフード「ごぼう天うどん」に見た、うどんの奥深さ

2024/12/31 05:55
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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うどんの奥深さを知る

 店内を観察すると、スーツを着た会社員やドライバー風の男性、友達同士の女性、家族連れなど、客層は幅広い。総じて着飾らず、気軽に利用できる店のようだ。

 女性スタッフが水とメニューを持ってくる。メニューを決めようとざっと目を通すと、どれもすごく安い!

メニューを見ると、いずれも安い。「ごぼう天うどん」は何と同390円!

 大好きな「ごぼう天うどん」はなんと税別390円!「えび天うどん」「肉うどん」は同440円である。もう少し値上げしてもいいのではないか、と大きなお世話をしたくなるほどの価格設定である。なお、「そば」は80円増し。

 それらのうち、私は「人気No. 1」の「肉ごぼう天うどん」を頼んだ。価格は同570円。それに「いなり」同70円を1個つける。何度も申し訳ないが、ホント安すぎですよ。なお「人気No.2」は「肉増しうどん」同640円、「人気No.3」が「肉磯辺天うどん」同540円。

 78分ほどして私の目の前に料理が届けられた。見てください、この期待感が高まりまくるルックスを。

注文した「人気No.1」の「肉ごぼう天うどん」。価格は同570円

 汁の色は資さんうどんよりも、やや濃い感じ。そこにうどんが入り、ごぼう天、そして甘辛く煮た肉、さらに少量のネギが乗っている。

 早速いただく。まず汁、次にうどんという順番で食した。資さんうどんと比べると、味はほんの少し濃いものの、京都人の私でも塩辛い感じはしない。うん、うまい。続けてうどんを食べたが、汁、さらに肉の香りがしてとても美味である。

 汁、麺、具と、うどんを構成する要素は全国共通だろう。だが、土地が変わればこうもアプローチが違うというのは、料理とは奥が深い。「英ちゃんうどん」の「ごぼう天うどん」は、これまで食べたものとは一味違う、荒削りながら、どんどんとこちらに入ってくる味。もし近所にこの店があったら、高頻度で利用するだろう。

荒削りながら、どんどんこちらに入ってくる味。強烈においしい!

 さて、この「英ちゃんうどん」だが、検索すると福岡県内にぽつりぽつりと店を確認できる。しかし、まとまった情報を載せるWebサイトが見当たらない。暖簾分けで店が増えたのか、フランチャイズチェーンなのか、また本部があって直営店があるのか。経営形態が不明で、ミステリアスな感じがまた気に入った。

 いずれにせよ、福岡県に行く機会があれば、ぜひ「ごぼう天うどん」を体験してほしい。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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