ベンダーとは?ベンダーはどのように役に立っている?実例を交えて徹底解説!
ベンダーとは
ベンダーとは、商品の販売業者・売主を意味する。日用品や食品などの消費材を購入するエンドユーザーにとっては、専門店・ドラッグストア・スーパーなどの小売業者がベンダーに当たる。
自動車メーカーにとっては、部品メーカーがベンダーにあたる。ただし、すべての製造業者が部品メーカーから直接購入しているわけではなく、それぞれの専門商社をベンダーとして活用しているケースも多い。
同様に小売業界においても、小売店の多くが、食品卸・日用品卸や輸入専門商社を通じて商品を購入している。魚や野菜などの生鮮食品の場合、生産者と消費者の間に複数のベンダーが介在することも少なくない。
ベンダーのメリット
ベンダーのメリットは、調達力の確保、流通業務の効率化にある。
調達力の確保
小売業でも規模の大きい組織小売業では、社内に規模の大きな調達部門を擁しサプライヤーからの商品直接調達を推進しているところも多い。それでも、アイテムや品種が多い場合は、すべての商品を自社でハンドリングするのは難しい。中小の小売業ならなおさらである。
たとえば配送を考えても、メーカーから直接配送させるとなると一定量以上の注文数がなければ成り立たない。仕入そのものも、オーダー数が少ないとメーカーから相手にしてもらえないこともある。しかし、間に卸などの中間ベンダーを仲介させれば、複数メーカーのアイテムを取りまとめて納入してくれる。納期・数量の調整も、中間ベンダーに任せることができる。
流通業務の効率化
多くの小売店にとって、陳列や値札貼付といった業務は手間のかかる作業だ。ベンダーの中には、単に商品を届けるだけでなく陳列などの業務を任せてられるところもある。たとえば日用品の場合、多くのベンダーはラウンダーと呼ばれる専門部隊を抱えている。ラウンダーは、陳列はもちろん、特設コーナーといった売場構築まで任せておける。
ベンダーのデメリット
ベンダーのデメリットは、流通コストの増加にある。生産者と消費者の間に介在するベンダーの数が多ければ多いほど、流通コストは増加する。たとえば魚の場合、価格に占める卸業者の取り分は産地出荷業者と仲卸あわせて4割近くに達するとされている。この割を食うのは生産者で、取り分はわずか25%とも言われている。
ベンダーの実例
ベンダーの実例として、コンビニエンスストアにおけるおにぎり・サンドイッチ・総菜・弁当のベンダーについて、最近の動向を紹介する。
全国のコンビニ5万店強の月販は約1兆円に達するが、うち3割を弁当や総菜類が占めている(カウンター食品を含む)。中食志向が進む中で、大手コンビニの多くが本部主導のもと弁当・総菜の強化を進めており、弁当ベンダーが果たすべき役割は大きい。
そしてコンビニ業界では、弁当ベンダーの集約化と系列化が進んでいる。最大手セブン-イレブン・ジャパン(東京都)の場合、同グループの中食事業はわらべや日洋ホールディングス(東京都)などの大手系列ベンダーが中核を担っている。
これらの弁当ベンダーは、コンビニ事業と二人三脚で成長してきた。たとえばわらべや日洋HDの売上高は2000億円を超える。最近ではセブン-イレブンの米国事業展開と歩調を合わせ、パートナーとして東海岸・テキサス州・ハワイ州へ進出した。日本のコンビニが頭打ちになる中で、北米エリアは成長分野として大きく期待されている。
さらに、弁当ベンダーは商品を供給するだけでなく、商品企画・開発も支えている。武蔵野ホールディングス(埼玉県)は、大ヒット商品となったツナマヨおにぎりを開発したことでも知られている。ファミリーマート系列のベンダー企業シノブフーズ(大阪府)は、海苔のパリッとした食感が楽しめる、おにぎりのパラシュート式包装を編み出した(現在はセンターカット方式に変更)。