帳合とは?サプライチェーンの効率性が高まる?徹底解説します!

読み方:ちょうあい
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帳合とは

帳合とは、相互に取引関係を持っており、継続的な取引関係がある状態を意味する。

もともとは会計用語で、通帳残高と帳簿の銀行預金残高、在庫リストと帳簿の在庫残高を照合し、会計の信頼性を高める「帳簿合わせ」を略して帳合と呼んでいた。

取引の口座が開かれている、基本取引契約が結ばれている、あるいは仕入や販売の取引実績や履歴が残っている状態を「帳合関係がある」という。また、そのような取引関係のある卸・仲卸・ベンダーを「帳合先」と呼ぶこともある。

帳合のメリット

メリットのイメージ
帳合のメリットは、安定かつ継続した取引関係を築くことによって、メーカー・小売業者の双方が恩恵を享受できることだ。

帳合のメリットは、安定かつ継続した取引関係を築くことによって、メーカー・小売業者の双方が恩恵を享受できることだ。

メーカーにとって、小売業者と直接取引するのは一般的にハードルが高い。日本全国に商品展開しようとする場合、支社・支店網を整備し、自前の物流インフラを確保できれば直接取引も可能だが、トップシェアの大手メーカー以外はなかなか難しい。そこで多くのメーカーはベンダーや卸と帳合関係を結び、商品を供給することで、サプライチェーンの効率性を高めている。

小売業者にとっても、さまざまな商品をメーカーごとに仕入れるより、生鮮食品ならA卸、日配品ならB卸といった具合に帳合関係を結ぶことによって受発注や仕入れ業務の手間を省くことができる。

また、小売業者は帳合先である卸業者を通して新商品のトレンドやメーカーの開発動向、さらには競合他社の動きまでつかむことができる。メーカーにとっても、大手流通チャネルに食い込むためには、自ら営業をかけるより力のある帳合先(卸業者)に任せた方が早い。

そのおかげでメーカーは商品開発・量産化・研究、小売業者は販促や顧客への情報発信といった本業に専念できる。持ちつ持たれつの帳合関係が、これまでのサプライチェーンを支えてきたともいえる。

帳合のデメリット

帳合のデメリットは、コスト負担にある。帳合先である卸業者は、メーカーの手数料や、メーカーからの仕入れ価格と小売業者への販売価格の間に価格差を設けることで利益を得るため、小売業にコスト負担が生じる。

帳合の実例

帳合の実例として、出版業界における取次会社について解説する。これまで出版業界では、取次会社とよばれる帳合が書籍のサプライチェーンを支えてきた。とくに二大取次ぎの日販とトーハンがシェア7割以上を占め、出版大手3社(講談社・集英社・小学館)との関係を軸に存在感を示していた。

ところが最近は、出版業界全体の低迷を背景に、こうした蜜月関係も転換期を迎えようとしている。今年に入って、出版大手3社と総合商社の丸紅の協同で書籍の流通事業を立ち上げる動きが見られたのだ。

背景には、返本問題がある。書籍の返本率は一般的に4割に達するとされ、出版社は流通コスト負担を強いられている。現状に対して出版社側は取次会社に不満を抱いており、今回の新会社発足につながったというわけだ。さらには大手出版社とアマゾンとの直接取引も進んでおり、取次会社にとっては厳しい時代が続く。

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