オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いは?オムニチャネルのメリット、デメリットを徹底解説!

読み方:おむにちゃねる
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オムニチャネルとは

オムニチャネルとは、小売業と顧客のチャネル(接点・通路)を多角的に設けて、チャネル同士を連携させることである。オムニ(omni)は「すべての」を意味する英語の接頭辞だ。

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オムニチャネルとは、小売業と顧客のチャネル(接点・通路)を多角的に設けて、チャネル同士を連携させることである。オムニ(omni)は「すべての」を意味する英語の接頭辞だ。

マルチチャネルも顧客とのチャネルを多角的に設けることを意味するが、オムニチャネルはチャネル同士をIT技術で連携させることに特徴がある。近年飛躍的に進歩したデジタル技術を活用してチャネルを連携・統合させることで、企業にも顧客にも有益な情報が入手可能になる。

オムニチャネルが注目されるようになった背景には、スマートフォン・SNSの普及とECショップの拡充がある。それによって顧客の情報収集手段と購買行動が大きく変化したのだ。小売業と顧客をつなぐチャネルには、実店舗、ECサイト、チラシ、テレビ、Webサイト、SNSなどがある。顧客にとって、これらのチャネルへの総合的な入り口になるのが「スマホアプリ」だ。企業は、顧客にとって有益な機能を備えたアプリを開発し、ダウンロードしてもらうことで効果的なオムニチャネルを実現することができる。有益な機能とは、たとえば、特売商品の案内、在庫確認、注文、支払い、配送依頼、割引クーポンの受け取りなどである。

オムニチャネルのメリット

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オムニチャネルの顧客にとってのメリットは、上記のスマホアプリの多彩な機能に見られるような利便性の向上だ。

オムニチャネルの顧客にとってのメリットは、上記のスマホアプリの多彩な機能に見られるような利便性の向上だ。顧客は随時リアルとネットの両方でお得な情報を探し、便利な方法を選んで購入することができる。

企業にとっては下記のメリットがある。
①顧客満足度・顧客ロイヤリティの向上
②顧客ごとの情報収集が可能になり、購買行動のデータ集積と分析が精密化する
③データ統合によるコスト削減や業務効率の改善

統合されたオムニチャネルでは、すべてのタッチポイントでの顧客行動のデータが自動的に収集される。それによってデータ分析の精度が高まり、在庫管理などのバックサイドでの業務効率化にも役立つのだ。

オムニチャネルのデメリット

オムニチャネルのデメリットは、複数のチャネルを統合管理するためのITシステムの構築に、時間(手間)と多額の費用がかかることだ。さらに、業務フローや組織の変更も必要になる。

また、せっかくシステムを構築しスマホアプリを開発しても、顧客の認知度が低くアプリのダウンロード数が伸びないうちはオムニチャネル効果が得られない。また、かけたコストと効果の出現のタイムラグが大きくなると企業の負担も大きくなる。

オムニチャネルは小売業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)だが、まだ目標あるいは理念的な段階ともいえる。システムを導入しても、実店舗の従業員の理解が不十分で顧客の質問に答えられないなどのケースもある。

オムニチャネルの実例

オムニチャネル化を推進している例として、無印良品を展開する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)と、ユニクロを展開するファーストリテイリング(山口県/柳井正会長兼社長)の取り組みをご紹介しよう。

良品計画は2013年にスマホアプリ「MUJI passport」をリリースした。顧客はアプリをダウンロードすることで無印良品の会員として登録され、店舗とECサイトでの購入で「MUJIマイル」と呼ばれるポイントを獲得する。店舗に入店するだけでもポイントがもらえる。

アプリには、そのほかに在庫検索、ニュース配信、商品レビューの投稿などの機能があり、イベント参加のクーポン券がもらえることもある。店舗側は、購入時だけでなく来店やレビュー投稿、イベント参加などさまざまタッチポイントで顧客情報を得ることができる。

ユニクロはアプリ内に「UNIQLO IQ」というAIチャットボットを設け「あなた専用のお買いものアシスタント」とうたって顧客のコーディネイト相談に応じている。アプリでは店舗とECサイトの商品探しや在庫確認もできる。店舗側は、アプリを利用した顧客の個人情報や購入履歴、検索履歴を商品開発や在庫管理に活用している。

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