ディープラーニングとは?AIとはどこが違う?メリット・デメリットを交えて解説!
ディープラーニングとは
ディープラーニング(深層学習:Deep Learning)とは、AI(人工知能:Artificial Intelligence)に情報を覚えこませ学習させる「機械学習」の一分野である。
今までのコンピューターは、プログラムに基づいて情報を処理・動作するもので、プログラムはあらかじめ人間が打ち込んでおく必要がある。基本的な仕組みは、「富岳」のようなスーパーコンピューターでも、普通のノートパソコンでも同じだ。
一方人工知能は、人間が作ったプログラムに沿って動くわけではない。機械学習と呼ばれる手法に基づいて自己学習を繰り返し、「モデル」と呼ばれる一種のプログラムを自ら構築していく。機械学習では、必要な情報は人間が記憶させるが「モデル」づくり自体に人間はかかわらない。
ただし、機械学習は一筋縄ではいかない。画像認識一つとっても、人間が情報(画像とそれが「何であるかの答え」)を与えたとしても、人工知能が自ら画像を認識できるレベルまで学習するのは簡単でない。そこで期待されるのが、ディープラーニングだ。
人工知能も、一度の処理では複雑な判断ができない。ディープラーニングは、ニューロンネットワークと呼ばれる階層的な学習により複雑で高度な判断を可能としている。「トヨタの改善活動ではなぜを5回繰り返す」などと昔から言われるが、ディープラーニングもより深掘りした学習によって、より複雑な課題の処理を実現している。
ディープラーニングの理論は昔からあったが、実現したのはITテクノロジー進化のおかげだ。センサーの小型化とWebネットワークの整備による大量のデータ収集、演算処理速度の速いGPU(画像処理向け半導体)の登場が、ディープラーニングの実行を可能にしたのだ。
ディープラーニングのメリット
ディープラーニングのメリットは、人工知能に飛躍的な高度化をもたらす点にある。ディープラーニングを通じ、人工知能は無限に自己学習し続ける。人工知能の進化は、自動運転・創薬研究さらには金融テクノロジーなど、さまざまな分野に恩恵をもたらすものと期待されている。
ディープラーニングのデメリット
ディープラーニングのデメリットは、データ蓄積の格差拡大、「モデル」のブラックボックス化などが考えられる。
データ格差
ディープラーニングに限らず、機械学習では大量のデータを必要とする。データが多ければ多いほど人工知能は学習を繰り返し、より高度な「モデル」構築を可能とする。つまり国家でいえば10億人以上の人口を抱える中国、民間ならGAFAのような巨大圧倒企業の方がますます有利になる。
ブラックボックス化
今も進化を続ける最強囲碁AI「アルファ碁」は、凄腕棋士でも思いつかないような画期的な手筋を次々産み出す。さまざまな対戦結果の棋譜に基づいているのは確かだ。ただし、どのような思考プロセスでその手筋に至ったかは全くわからない。
人工知能のブラックボックス化は、医療や防災利用といった説明責任を強く求められる分野では致命的な影響をもたらしかねない。
ディープラーニング取り組みの実例
ディープラーニングの実例として、静岡県湖西市の農家による「きゅうり選別AI」について紹介する。
この事例は、形・色合い・傷の大小などによるきゅうりの等級分けをAIに代替させようとする取り組みだ。ソフト・ハードとも、元ソフトエンジニアの農家が内製化した。人工知能がメディアに取り上げられる機会は多いが、社会課題の解決に結びついた事例はまだ少ない。「きゅうり選別AI」は、人手不足に悩む農家の生産性向上につながる点、単調で辛い選別作業から人間を解放した点で大いに評価できる。巨大IT企業でなく、一農家が成約された条件の中で、完璧でないながら実現にこぎつけた事実も特筆に値する。