市場占有率とは?市場占有率を考える上で注意すべきこと、高い場合のメリット・デメリットを解説!
市場占有率とは
市場占有率とは、ある市場に占める自社もしくは特定の事業者の売上の割合を示す数値である。マーケットシェア、市場シェアと表現することもある。計算方法は「自社または特定の事業者の売上(金額または数量)」÷「市場規模(金額または数量)」×100%である。
市場の捉え方
一般消費者を対象とする市場の場合は、家電製品を例に取ると洗濯機、エアコン、冷蔵庫などそれぞれが最小単位の個別市場となり、これらを集合すると「白物家電」市場となる。またパソコンやタブレット端末などの個別市場と、これらを集合したグループとしての「情報家電」市場、さらに様々な家電製品を全体としてひとまとめにして「家電」分野市場と表すこともある。
一方、生産財の世界でも、それぞれ原材料、部品、製造装置や資材、製品が個別市場となり、各ジャンルのグループ市場、総合する全体市場を形成している。そのため市場占有率を見る場合には、個別単位の市場か、グループ市場、もしくは分野全体かなど対象市場を明確にする必要がある。
市場の枠組み
金額で市場を表す場合には、メーカーが出荷する段階の金額なのか、卸売業者が小売業者へ卸す金額か、小売業者が消費者へ販売する金額なのかを確認しなければいけない。一般に市場規模を表す場合には、どの段階に相当する金額なのかが注記されていることが多い。
また市場の枠組みも確認する必要がある。国別や地域別、性別や年齢層別など、市場を特定の条件で区分して表す場合がある。いわゆる市場のセグメンテーションと呼ばれる区分で、自社や競合企業の競争力を細かく分析する場合などに利用される。
市場規模の調べ方
市場規模については、国や公的機関、業界団体から個別市場レベルの統計データが数多く公開されている。例えば、経済産業省の生産動態統計調査、経済構造実態調査、厚生労働省の薬事動態統計などがあり、ホームページからのダウンロードが可能である。なお必要なデータが公開されていない場合には、民間の調査会社などから有料で入手する方法がある。
高い市場占有率を持つメリット
高い市場占有率を持つ事業者は、様々な場面で取引条件を優位に締結できることが多い。また広告宣伝でも業界のリーダーとして、ブランドの信頼性を強調することもできる。言い換えれば、高い市場占有率は自社の顧客の多さを表す。そのため事業者と顧客の結びつきを強める機会も多く、より大きなマーケティング効果が期待できるというメリットがある。さらに大規模な市場においては、生産や販売コスト低減など規模の経済性メリットも期待できる。
高い市場占有率を持つデメリット
高い市場占有率を持つ事業者は、取引場面で警戒されることもある。特に中小企業との取引には、強力な相手に飲み込まれるリスクを感じさせるためである。また企業買収や資本提携などにおいて、市場占有率が高まりすぎることで公正な取引を阻害する可能性があると懸念されることもある。稀ではあるが、公正取引委員会の調査や審査で事業推進のスピードがスローダウンすることもある。
また、高い市場占有率を維持する事業者は、一般に大きな組織体で運営されていることが多い。大きな組織体だけに、顧客のニーズや社会環境の変化への迅速な対応が遅れる懸念がある。