商圏とは?エリアマーケティングの基盤である商圏のメリット、デメリットを徹底解説!

読み方:しょうけん
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商圏とは

商圏とは、ある特定の店舗、商業施設などを利用する人々の在住エリア、また来店が見込める距離圏を表す言葉である。商圏の中心から辺縁部までの距離を商圏距離、商圏内の全人口を商圏人口という。特定地域におけるエリアマーケティングの基盤となるものである。商圏を設定し分析することで、新店舗の展開地点の発見、既存店舗の顧客開拓や販促、売上予測などが可能となる。

商圏イメージ
商圏とは、ある特定の店舗、商業施設などを利用する人々の在住エリア、また来店が見込める距離圏を表す言葉である。 emojoez/i-stock

一般に最寄り品と呼ばれる日常生活で使う食品や日用品の商圏は狭く、買回り品と呼ばれる品質やデザインを重視する耐久消費財などの商圏は広くなる。また業種や業態によっても、商圏の広さに違いが見られる。

商圏の種類

商圏には大きくふたつの捉え方がある。実際に顧客の来店が確認されているエリアを表す実商圏と、主に地理的な状況に基づいて設定する想定商圏もしくは仮想商圏と呼ばれるものだ。なおエリアマーケティングにおいては、商圏は1次商圏、2次商圏、3次商圏の3種類として見るのが一般的である。

商圏の設定

実商圏は、来店者へのアンケート、ポスティングやチラシ配布の反響、店舗の会員登録などで得られた顧客の住所などにより商圏を設定するものである。想定商圏は人口や世帯数、交通網などの地理的環境、河川や山など地勢的な環境に基づいて商圏エリアを想定する。なお商圏範囲の設定は、後述の1次商圏~3次商圏の概念を基準とするのが一般的である。

商圏分析のための情報と手法

商圏の分析には、市場の大きさと将来を決定づける商圏人口とその推移、市場のボリュームゾーンを見るための年齢別・性別人口データが必要である。またライフスタイルのセグメントに必要な人員別世帯数、昼夜間人口から通勤や通学者数を加えた実質的な商圏人口なども参照する。さらにエリア内の人々の流れを具体的に把握するため、最寄駅の乗降客数の情報も必要である。さらに競合店調査も、商圏の広がりに大きな影響を与えるため重要な情報となる。詳細な人口に関する統計は、国が公表している国勢調査で見ることができる。

商圏分析手法として、買物をする都市までの距離と人口を要素として購買金額を分析する「ライリーの法則」、買物をする店舗の面積と居住地からの距離を要素として特定の商業施設に出かける確率を分析する「ハフモデル」などがある。なお経済産業省では、ハフモデルに営業時間やブランド力などの要素を加えた修正ハフモデルを提案している。

メリット

メリットのイメージ
商圏の設定で集積したデータは、エリアマーケティングの実行、新店舗開店のための基本情報となり、事業運営において大きなメリットを生み出す。

商圏の設定で集積したデータは、エリアマーケティングの実行、新店舗開店のための基本情報となり、事業運営において大きなメリットを生み出す。今日はインターネット社会の進展で買物行動にも変容が見られるが、実店舗の買物においては商圏を前提としたマーケティングが基盤となることに変わりはない。

さらに、2次商圏や3次商圏をターゲットとして、ネットのオンライン環境から実店舗に客を誘導するO2O(Online to Offline)、ネット環境と実店舗の顧客獲得を並行して拡充するオムニチャネルも展開されている。そのため、商圏データを活用する機会は増大している。

デメリット

商圏分析から得られる情報は非常に重要であるが、その情報の裏付けや分析の状態によっては大きなデメリットを生み出す可能性がある。人口などの机上のデータに頼り過ぎると、現地の街並みや交通事情、有力な競合店の実情を見逃す懸念があるためである。

商圏設定の参考事例

ここでは、商業施設の基本となる商圏設定の例を紹介する。

商圏の設定には、1次商圏、2次商圏、3次商圏の概念がある。一次商圏は、顧客の来店までの所要時間が徒歩で10分〜15分、800m〜1.2kmの距離とされている。また足元商圏(来店まで10分以下の所要時間)の概念を含むことがある。来店頻度はほぼ毎日が目安だ。

2次商圏は、顧客の来店までの所要時間が自転車で10分〜15分、3km〜5kmの距離である。来店頻度は、週に1〜2回が目安。3次商圏は、顧客の来店までの所要時間が車や電車で30〜40分。来店頻度は、月に1回〜3カ月に1回が目安。店の売上の60~70%を占めるお客の居住地域を1次商圏、同じく20~30%を占めるのが2次商圏、5~10%を占めるのが3次商圏とする捉え方もある。

自店舗や出店予定地を中心として、各商圏の概念にそった商圏距離を半径として地図上に描かれた円が基本の商圏となる。なお、この描かれた円は、商圏バリアと呼ばれる川や山など地勢的な要因、街区の状況、有力な競合店などの存在により凹凸を生じることになる。そのため、実際の商圏の形は複雑な姿になることが多い。

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