売上のカギを握る?!コーザルデータとは?活用メリット・デメリットを解説!

読み方:こーざるでーた
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コーザルデータとは

コーザルデータとは、流通業界では店舗の売上や来店者数に影響を与える外部的な要因のデータを指す。外部的な要因とは、天候など店舗の売上や来店者数の増減に影響を与える原因となり得る事象のことで、その要因となる事象を集積したものがコーザルデータに該当する。なお原語のcausalは英語で、さまざまな場面における「原因となる、因果関係の、原因を示す」を意味している。

天気予報イメージ
コーザルデータとは、流通業界では店舗の売上や来店者数に影響を与える外部的な要因のデータを指す。

外部的な要因の例

店舗の売上や来店者数に影響を与える原因となるのは、天候や花粉の飛散など自然現象の変化、祝祭日や平日、季節行事、時間帯などの移り変わりなどが代表例となる。その他にも地理的な環境、商店街や繁華街など立地特性、近隣店のチラシ配布などがあげられる。これらの事象の動きを集積したものが、コーザルデータである。

コーザルデータの使い方

コーザルデータは、さまざまな要因を示すものであり、他のデータと組み合わせることで初めて有益な活用ができる。例えば天候の場合、POSデータと組み合わせると晴や雨の日の商品別売上、来店者数の変化をデータとして知ることができる。さらに天気予報と重ねると、天気ごとの発注量を決める判断基準のひとつとして活用ができる。

コーザルデータ活用のメリット

メリットのイメージ
コーザルデータとPOSデータなど自店舗のデータを組み合わせて分析することで、外部要因の影響度を数値として知ることができる。

コーザルデータとPOSデータなど自店舗のデータを組み合わせて分析することで、外部要因の影響度を数値として知ることができる。天気予報や季節行事、立地特性などの数値化された要因分析結果から、販売予測や発注計画、販促プラン、店舗の人員体制など思い込みに頼らない準備が可能となる。また分析を通して、これまでに気が付かなかった自店舗の特性や地域特性など、新たな気付きを生む機会になる可能性もある。

なお自店舗およびコーザルデータの集積と分析には、手間とシステム運営のスキルが課題となる。その課題を解決するためのシステムが開発されており、コーザルデータのメリットを生かす環境が整ってきている。

コーザルデータ活用のデメリット

コーザルデータは、POSデータなど事業活動に関するデータと組み合わせて分析することで有用性が生まれる。そのため、分析に必要なデータの収集と整理、さらに分析のスキルが必要になる。適切な分析手法を取っているのか、データは整備されているのかなど、繰り返しの実証が必要になる。有益な成果が出ない場合、その時間と経費がロスとなる懸念がある。

コーザルデータの活用例

ここではコーザルデータを活用して流通業務を支援する日本電気(NEC:東京都)と日立製作所(東京都)のサービス、コーザルデータをベースとして商品別の需要予測サービスを提供するインテージ(東京都)の例を紹介する。

需給最適化プラットフォーム

日本電気は、物流・製造・卸・販売といったバリューチェーンの需要と供給を最適化する「需給最適化プラットフォーム」を提供している。「需給最適化プラットフォーム」とは、顧客が持つ販売実績等の様々なデータに加えて、NECから提供する気象情報などのコーザルデータを組み合わせて、精度の高い需要予測を可能にするサービスである。

サービス提供の目的は、食品を例にあげると、食品メーカーから小売事業者に至る食のフローにおける生産と販売、在庫の最適化による事業者の最大利益の実現、食品ロスの削減である。

AI需要予測型自動発注サービス

日立製作所では、「AI需要予測型自動発注サービス」の提供を行っている。サービス提供の目的は、需要を予測することで最適な発注量と適正在庫を維持し、サービス利用者の利益の最大化、廃棄ロスの削減などである。

需要予測で利用するのはPOSデータやECサイト実績、販促メディア配信データなどの自社データ、コーザルデータとしては天候、立地や商圏データ、SNS情報などが用いられる。これらの膨大なデータ管理を日立製作所が行い、分析結果のアウトプット、データの更新のサポートまでを含むトータルサービスを行っている。

お天気マーケット予報

インテージは、天気による商品別の需要予測を提供するサービスを行っている。マーケティング活動だけでなく、先々の生産計画や在庫調整、配送計画の検討など、複数のビジネスシーンでの活用を目指している。

予測方法は、自社が保有する長期に渡る全国小売店パネル調査と、コーザルデータとして日本気象協会が保有する長期の気温予測の解析により導き出している。提供される予測情報は、商品別の全国もしくはエリア別需要予測である。なお対象商品はアイスクリーム、スポーツドリンク、総合感冒薬など、約260カテゴリとなっている。予測期間は15週先まで、週単位での提供となっている。

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