クロスマーチャンダイジングプロモーションとは?メリット・デメリットを徹底解説!
クロスMDプロモーションとは
クロスマーチャンダイジング(MD)プロモーションとは、カテゴリーが異なる商品を売場に陳列するだけでなく、クロスMDを軸として様々なプロモーション手法と組み合せた販促活動を意味している。なお、クロスMDプロモーションは小売業者から来店者への活動だけでなく、メーカーや卸売業者が小売業者に働きかける活動でもある。
クロスMDとは?
クロスMDは、カテゴリーは異なるが共通するキーワードを持つ商品を同じ売場に陳列する方法である。例えば精肉売場に焼肉のタレ(「焼肉」がキーワード)、野菜売場にドレッシング(「サラダ」がキーワード)などが代表的な組み合せである。来店者に「気づかせる」「思い起こさせる」「考えつかせる」ことで購入商品数を増やし、客単価をアップさせることを主な目的としている。
クロスMDのプロモーション
プロモーションは、販売促進、奨励や販促のための宣伝活動などを意味する言葉である。消費者を対象とするコンシューマープロモーションと、販売者を対象とするディーラープロモーションがある。
クロスMDはインストアMDのひとつであり、その中で提案されているプロモーション手法とクロスMDを組み合わせた活動がクロスMDプロモーションとなる。インストアMDのプロモーション方法としては、POPやデジタルサイネージ、店頭イベント、実演販売、さらに景品など、様々な方法が提案されている。
クロスMDプロモーションのメリット
店舗側のクロスMDプロモーションのメリットは、売場のプロモーションに誘発された来店者がより多くの買物をすることで客単価のアップが実現できる点である。さらに来店者の関心を引く魅力的な売場づくりにもなる。
顧客にとっては、売場の提案でより充実した買い物や、買い忘れの防止などに役立つ。また、ワンストップでの買物が可能になることもあり、利便性の高さもメリットのひとつに挙げられる。
来店者にとってのクロスMDプロモーションデメリット
店舗側にとってのデメリットは、時間と経費をかけた企画、売場作りとプロモーションが来店者に受け入れられず、期待した成果が得られない経費ロスとなるリスクである。
来店者側にとってのデメリットは、衝動買いによる予定外の出費、専門売場での検討機会を見逃すかもしれないといった懸念である。
クロスMDプロモーションの事例
ここでは、メーカーおよび卸の例と、小売店舗におけるクロスMDプロモーションの例を紹介する。
メーカーの代表例
味の素(東京都)は、1995年にスタートした新営業活動で「提案型営業」の取り組みを始めた。その中の代表的な手法が、量販店に向けたプロモーションのマックス(MACS)である。これは、メニュー・アンド・クロスマーチャンダイジング・セールスプロモーションを略号した名称である。
具体的には、量販店にとって重要な商品である生鮮食品と、「クックドゥ」などの自社商品とのクロスMDの提案である。来店者がほぼ毎日購入する生鮮食品と、自社商品を組み合せたメニューのリーフレットやポスターを制作、売場に掲示する方法を取り、当時の業界の話題となるほどの成果を上げた。
卸の代表例
化粧品および化粧雑貨などの専門卸である老舗、井田両国堂(東京都/井田隆雄社長)のクロスMDプロモーションの例を紹介する。
同社は、2008年から小売店の売場づくり支援を強化するため「プロジェクト陳列」の提案を開始している。これは小売店のコンセプトや客層に対応した「ライフスタイル別」、「生活シーン別」などの「ビューティーソリューション」をキーワードとするクロスMDの提案である。同社が提供するクロスMDプロモーションの導入で、小売店は顧客に美容とライフスタイルを見直す機会の提供が可能となり、顧客ロイヤルティを高めることができる。
提案の一例としては、「ご近所メイクバリエーション」がある。提案のターゲットは、リモートワークで外出機会が減り、生活感丸出しの印象を人に与えたくないと考えている人が対象。提案内容は、生活の持ち時間別に最低限やっておくといい「手抜きメイク」のアイテムの推奨である。
メーカーの代表例(小売業)
ワインをハムやチーズ売場で販売、精肉売場に焼肉のタレ、野菜売場にサラダドレッシングを置く。ブーツを履く季節に女性用水虫薬をストッキング売場に、忘年会の時期では酒類売場にウコンドリンクを置き、POP広告を使って気づきを促すといった成功例があげられる。またドラッグストアの化粧品コーナーで、化粧部員がストレスや肌トラブル対策で睡眠の効果をカウンセリング、化粧品コーナーに置いた女性向け健康リキュールが全国トップクラスの売上げを達成したという事例もある。