イニシャルコストとは?イニシャルコストは低ければ低いほどよい?徹底解説!
イニシャルコストとは
イニシャルコストとは「初期費用」のことである。イニシャルは「最初の、初めの」という意味を持つ英語形容詞だ。
イニシャルコストはとくに、「事業を始める際に必要な費用」または「新しく機器を導入する際に必要な費用」の意味で使われる。これに対してランニングコストは、事業を維持するため、あるいは機器を使用し続けるために必要な経費を指す。ランニングコストは月単位または年単位で表される(計算される)のが普通だ。
イニシャルコストと毎年のランニングコストを総計すると「ライフサイクルコスト(生涯費用)」になる。永続を前提とする事業では使われないが、耐用年数があるような機器では重要な数字(指標)である。
一般的に、イニシャルコストを大きくするとランニングコストは小さくなり、イニシャルコストを抑えるとランニングコストが大きくなるという関係にある。たとえば、自社ビルを建てればイニシャルコストは大きくなるが、毎月の家賃(ランニングコスト)はかからない。省エネのエアコンを導入すれば、購入費は高くなるが電気代は安くなる、といった具合である。
最近では、コンピュータシステムを導入する際に、自社でハードやソフトを用意する必要がないクラウドサービスを利用する企業が増えている。これもイニシャルコストを抑える方法だが、毎月サブスクリプション(定期使用)代金を支払う必要がある。
イニシャルコストを抑えるメリット
事業経営では、イニシャルコストを抑えることで早期に利益を出せるメリットがある。設備投資にお金をかけるほどその回収に時日を要し、利益が出始める時期が遅くなるからだ。また、撤退しなければならなくなった場合も、イニシャルコストが小さいほど損失は少なくなる。
イニシャルコストを抑える効果が大きいのは、あらゆる企業に必須となったコンピューターシステムだ。自社にコンピューターシステムを備えるには、オンプレミス型とクラウドがある。
オンプレミス型は、自社でサーバーを設置しソフトウェアを開発するが、多額のイニシャルコストがかかる。中小企業では費用面ばかりでなくノウハウ的にも対応できない場合が少なくない。
一方でクラウド型は、サーバーの設置やソフトウェアの開発が不要でほとんど初期費用がかからない。また、導入したシステムが使い勝手が悪い場合は、他のクラウドサービスに乗り換えることもできる。
イニシャルコストを抑えるデメリット
前述したように、イニシャルコストを抑えるとランニングコストが大きくなるのが通常だ。それによって、ライフサイクルコストが初期費用をかけた場合より大きくなってしまうこともある。たとえば、型落ちの業務用冷蔵庫をディスカウント価格で購入すると、電気代が高くなり結局ライフサイクルコストは大きくなる場合がある。
機器のリース契約は、イニシャルコストをかけて自社購入するよりライフサイクルコストが大きくなるのを承知の上で行う契約だ。機器のメーカーと使用者の間にリース会社が入るのだから当然の結果である。資金に余裕がある場合は、安易にリースを利用するべきではない。
イニシャルコストを抑える例
あらゆる企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しなければならないとされる現在、自社に必要なコンピューターシステムと相性の良いクラウドサービスを利用するのは、イニシャルコストを抑えるのに有効である。
とくに、社内にITに詳しいスタッフいない場合は、オンプレミス型でシステムを作ろうとすると、ITベンダーに丸投げせざるをえず費用と時間がかかる以外にもリスクがある。
クラウドサービスは、イニシャルコストがほとんどかからないうえに、リース契約と違っていつでも契約を解除できる。大きな初期投資を行って導入したが、結局使い物にならなかったというリスクを避けることができるのだ。