コンサルが解説「OMO戦略とは」 レジなし店舗でスマート購買体験
OMO戦略の3つのメリット
OMO戦略が注目されるようになった背景には、スマートフォンの普及がある。スマートフォンによって、消費者はパソコンが無くてもインターネットに接続できるようになった。この結果、消費者行動が多様化したのである。
スマートフォン1つでWebサイトから商品情報を収集し、複数のショップの価格やサービスを比較して、同じ商品を「できるだけ低価格で」購入することができる。また、消費者は場所や時間を問わず、効率的に買い物ができるようになった。そのため、企業側もOMO戦略を取り入れ、顧客満足度を上げて他社との差別化をめざしている。
OMO戦略には3つのメリットがある。
①今までにない顧客体験の提供で顧客満足度を向上
1つめは、実店舗とECを繋ぐことで、今までにない顧客体験を提供し、顧客満足度の向上を実現できる点だ。
SNSなどで、ブランドや商品に「いいね!」を付けてもらうことはたやすい、顧客が何も負担する必要がないからだ。しかし、一歩進んで「ブランドとファンという関係性」を構築するには、「気軽さの壁」を乗り越える必要がある。実際に店を訪れ、店舗の人と触れ合い、価値観の共有が必須だ。
また、欲しい商品がカバンなどの雑貨類の場合は、リアル店舗では店員によるアドバイスで、それに合うスカートやブラウスを提案することが可能だ。無理に進めることは、今の時代、逆効果になりかねないが、自然な会話のなかで、最適なコーディネート提案をして、顧客の不安を解消したり、満足度を高められれば、最終的にその人にとってのブランドイメージを上げることができる。
②顧客一人ひとりへのマーケティングに一貫性が生まれる
2つめが、一人ひとりの顧客に対するマーケティングに「一貫性」が生まれるという点だ。従来のように、マルチチャネルで販売チャネルがそれぞれ独立している場合、同じ顧客にバラバラのアプローチをすることになり、顧客にストレスを与えている可能性がある。
ECでダーク系のアウターを検索したユーザーに対して、SNSでは暖色系のワンピースの広告を表示し、メールで靴のセールの案内を送っても、その提案はちぐはぐで、効果的ではない。
OMO戦略では、顧客へのアプローチの窓口を明確化・一元化でき、コーディネートをベースに提案する。もしお店に来店しないお客であっても、ネットあるいはSNS経由でコミュニケーションができる仕組みでフォローすることができる。
③ 機会損失を減らせる
最後が、機会損失を減らせるという点だ。実際に、店舗に足を運んだのに欲しい商品の在庫がない場合、OMOであれば、EC上や近隣店舗の在庫を確認し、後日取り寄せることが可能だ。
OMO戦略により実店舗とECの在庫管理を連携させれば、在庫があるにもかかわらず商品を提供できない、という機会ロスを防ぐことができる。
OMOに必須の4つの機能
次にOMOを実践するうえで必須となる4つの機能について説明したい。それが①システム統合、②顧客統合、③カート機能の統合、そして④決済である。
①システム統合(商品・在庫機能)
商品に関する情報をOMOシステムで統合する。商品の計上や価格、搬送時の留意点、出荷時の形態など、商品マスターを顧客に公開し、来店時も自宅でのECサイト訪問時も参照を可能とする。
在庫(ローケーションを含む)情報をOMOシステムで統合する。店舗ごとの在庫状況、EC用の在庫を一括して参照可能とする。また、EC購入や他店舗からの移送要求について、当該店舗に入荷時、顧客へメール等でお知らせする機能も価値が高い。
②顧客統合
顧客の基本情報をOMOシステムで統合する。顧客の住所変更や電話番号の変更も一元管理でき、逐一顧客に尋ねる必要がなくなる。受け取り方法の推奨パーンの一元化(原則店舗受取、いつもは宅配など)も顧客にとって有意義である。
顧客統合は購買動向のシステムの統合も含む。購入履歴、ポイント、返品実績などが統合されており、次の商品の選択時に活用する。特に色やサイズの購入履歴は、次の購入時の良い参考となる。顧客担当の明示化も行う。