在庫を利益に変える方法とは?小売業の在庫問題を解決するフルカイテン

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ECでも実店舗でも、小売業が抱える在庫問題は根深い。在庫一掃のための値引きが売上減少をまねくうえ、近年では、在庫の大量廃棄がSDGsの観点からも問題となっている。フルカイテンは、このような在庫問題の解決に、在庫を利益に変えるクラウドサービス「FULL KAITEN」を提供する。データの分析や需要予測によって、利益と在庫の最適バランスを実現する、同社独自のメソッドや導入効果を紹介する。

在庫問題を解決する独自のクラウドサービスを提供

フルカイテンは、2012年5月にベビー服のEC販売から事業をスタートした。しかし、在庫が原因となり、3回の倒産危機に見舞われる。その危機を乗り越える過程で編み出したのが、同社独自の着想である在庫分析のメソッドだ。同社では、その後在庫回転率が17回転を超えるなど、EC事業を成長させることに成功。現在は、EC事業を売却し、在庫分析のメソッドに注力したクラウドサービス「FULL KAITEN」を提供している。

代表取締役の瀬川直寛氏は、「在庫による倒産危機を3回経験したことで、在庫が抱える根本的な問題の解決手法を編み出すことに成功しました。リスクを回避する手段は異なりますが、コアとなる分析の手法は、ECでも実店舗でも変わりません」と語る。

瀬川 直寛 氏
フルカイテン 代表取締役CEO 瀬川 直寛 氏

小売業にとって、「在庫」は永遠の経営課題ともいえる。同社のデータ分析によれば、「FULL KAITEN」導入企業では、導入当初は全SKUのたった20%で粗利の8割を生み出しており、残りの80%の滞留SKUは何らかのアクションが必要な状況にあったという。フルカイテンではこのアクションへの解決策を提供している。

抱えた在庫の80%から生まれる粗利の機会損失をどう解消するかという課題に対し、統計学やAIを用いたアプローチで今後の売れ行き予測や購買動向分析を行い、ドメイン知識とデータ分析力に長けたカスタマーサクセス(CS)による最適な販売・物流プランの立案支援により、小売業の粗利経営への変革をサポートしている。

FULL KAITEN導入企業の導入当初のデータを使った分析で分かったこと

在庫分析、在庫配分、補充発注の3つのサービスで支援

具体的な分析手法も確認してみよう。在庫分析クラウド「FULL KAITEN」では、在庫分析、在庫配分、補充発注の3つのサービスを提供している。在庫分析では、AIによって在庫リスクを売上貢献度と完売予測日をもとに「Best」「Better」「Good」「Bad」の4分類に可視化する。通常、数時間以上かかる大量のSKUの在庫分析をすべて自動で分析するため、業務時間を大幅に短縮することが可能になる。

在庫分析クラウド「FULL KAITEN」

また、担当者の経験や勘に頼った値引き行うことが多かった企業では、データや指標に基づいた判断が可能になる。一律の値引きではなく、商品ごとに傾斜をつけた値引きが行えるため、不要な値引きを防止し、適切な商品を正しい販促施策で販売することで、在庫を利益に変換することができる。

在庫配分

在庫配分では、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、売れる商品を売れる店舗に最適な量だけ移動できるように自動計算することで、売上・利益向上につながる在庫配分を実現する。また、補充発注では、全店舗×全SKUの日々の販売数を予測し、適正発注数を算出。業務負荷を削減しながら、店舗欠品率を改善し売上・荒利を創出することが可能になる。これら3つのサービスはそれぞれ単体でも利用が可能で、企業の業務体系に合わせてサービスを選択できる。

「FULL KAITEN」は、現在、アパレル、雑貨、スポーツ用品、眼鏡、靴など200以上のブランドで導入されており、EC売上が昨対比11%増に対し粗利額が16%増となった企業や、在庫移動による創出売上の昨対比570%増加に成功した企業、粗利率が3ポイント上昇した企業など、様々な導入効果が報告されている。さらに、家電量販店、ホームセンター、ドラッグストアなど、これまでとは異なる業態にも導入が拡大してきている。

導入実績

世界の大量廃棄問題の解決をミッションに、新サービス開発へ

既存の「FULL KAITEN」では、傾斜をつけた値引き率の設定が可能だが、今後は、売上・粗利・在庫消化を最適化するのに適正な売価の設定など、売価のシミュレーションを可能にする「価格弾力性」のサービスを2024年後半に開始する予定だ。

さらに、実店舗に対しては、在庫分析に基づいた売れ筋商品や併売商品などを提案し、売場作りのサポートを行うサービスの提供も予定している。店舗のスタッフ数が減っている中で、少ない人員と時間で売上効率を改善し、スタッフが本来やるべき仕事に専念できる環境を整えられるように支援する。

瀬川氏は「店舗DXが進んでいる企業でも、在庫DXは遅れているという企業も非常に多く見られます。長年見過ごされることの多かった在庫の問題に取り組むことで、無駄な在庫が減り粗利が増え、必要な商品が必要な量だけ流通する経済に近づきます。社会問題である大量生産・大量廃棄を抑制することで、未来の地球の資源を守ることをミッションに、今後も貢献していきたい」と語り、さらなる事業拡大に取り組む考えだ。

記事執筆者

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局は、DCSオンラインを通じて、食品メーカーやIT・通信などの事業者様が、小売業へPRや協業などを検討する際の最適なパートナーとなります。小売業との協業を増やしたい、小売業へのアプローチをしたいなどのご用命は、ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局へお問い合わせください。

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