「地雷系」ファッションに勝機あり?越境EC「Temu」に夢展望が国内企業初出店!
「地雷系」ファッションに白羽の矢
今回「Temu」内で販売を開始したのは、「アパレル事業」において同社が展開する主力ブランド「DearMyLove」などの衣料品だ。同ブランドは「地雷系」「量産型」と称されるガーリー系のアイテムが中心となっている。
今回の提携に至った背景について、津田氏は「中国で開催された展示会に出展した際、『Temu』側が『DearMyLove』の商品に注目したことがきっかけだった」と振り返る。
日本市場に参入し、シェアを高めたい「Temu」にとって、重要な課題のひとつがローカライゼーションだった。そんな折、夢展望の展開する「地雷系」「量産型」のような日本独自のファッションに「Temu」が関心を寄せたという。
夢展望側も、アメリカや香港、台湾などの海外客による「DearMyLove」商品の購入が増えていることを認識していた。日本独自のファッションが潜在的に持つ海外でのニーズをキャッチしていたため、海外展開に新たなチャンスを見出していたという。こういった背景から、両社は意気投合し、提携に向けて調整を始めるに至った。
連携の第1段階として、「DearMyLove」の商品を「Temu」の日本向けサイト内で販売することからスタート。
夢展望で販売する「DearMyLove」の商品は5000円前後のトップスから1万円台のドレスなど、価格帯としてはやや高めとなっている。「Temu」内で販売されているほかのアパレルアイテムと比較するとその価格の高さが目立つものの、津田氏は「価格は合わせず、しっかりとブランディングをしていく」としており、過度な値下げは考えないという。
「Temu」の成長で相乗効果ねらう
夢展望は今後、連携の第2段階として「Temu」の海外向けサイトでの販売を検討中だ。また、取り扱いブランドの拡大や別事業への派生展開など、販路の拡大も考えていくという。
津田氏は「これは日本マーケットで売上を伸ばしていくにあたっても重要なアプリになる」と指摘する。
いまや日本でもECは実生活に根付き、お客は膨大な数のショップやサイトを使い分けている。たとえ同じ商品を扱っているショップがあっても、値段が安いほうを選んだり、ポイントが得られる方を利用するなど、ECサイトを使い分けるお客は少なくない。
夢展望では、自社ECのほか、「楽天市場」や「ZOZOTOWN」などでも商品を販売している。「Temu」で販売開始することで、同社の商品の新たな購入口が増えれば、新規客の獲得につながる。
今後、夢展望では「Temu」と協力し、海外展開によって危険性が増すとされる模倣品対策をはじめ、品質の向上によって「Temu」内における同社のブランド価値を高めていきたいとしている。津田氏は「『Temu』がプラットフォームとして強化されていけば、国内外で抱える圧倒的な数のユーザーが安心して購買できる環境を整えることができる。その相乗効果を期待している」と話す。
夢展望の専務執行役員を務める植竹知子氏は「『Temu』にも当社のブランドに手ごたえを感じていただいた。規模の大きいECに限らず、引き続き海外展開に積極的にチャレンジしていく」と前向きに話している。
国内企業で最初の「Temu」出店となった同社は、「Temu」日本市場における“成功事例”となれるか。