アップスケールスーパーマーケットとは?普通のスーパーマーケットとは何が違う?徹底解説!

読み方:あっぷすけーるすーぱーまーけっと
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アップスケールスーパーマーケットとは

アップスケールスーパーマーケットとは、標準的なスーパーに比べ高品質で専門性の高い品揃えと洗練された高級感のある雰囲気を演出する内装、接客を含む高度なサービスを提供するスーパーマーケットを指す。価格以外の顧客ニーズにも対応した商品の提案、洗練された専門性を背景とした陳列、従業員の行き届いた接客態度などがアップスケールスーパーマーケットの要件となる。

成城石井浜田山店
アップスケールスーパーマーケットの研究例では、「提案型の品揃えで、他店ではあまり見かけない輸入商品や価格帯が高めの高級食材を取り扱い、価格競争志向は低い。写真は「成城石井浜田山店」(東京都杉並区)。

アップスケールスーパーマーケットと高級スーパーマーケット

アップスケールスーパーマーケットと高級スーパーマーケットは、ともに明確な定義づけは見られない。取り上げたメディアや研究報告の中で、それぞれの概念が示されている。共通する特徴点として、標準的なスーパーチェーンではできない高品質な品揃え、非価格競争が挙げられている。なお成城石井(神奈川県/原昭彦社長)のように両方の概念に例示されることもあり、併存する概念となっている。

代表的なスーパーマーケット

アップスケールスーパーマーケットの研究例では、「提案型の品揃えで、他店ではあまり見かけない輸入商品や価格帯が高めの高級食材を取り扱い、価格競争志向は低い。従業員は商品知識を求められる接客にも対応できるスキルを持つ。」などを要件として挙げている。アップスケールスーパーマーケットの草分け期に開店した店舗として、関西ではニッショーストア(現在の阪急オアシス:大阪府/永田靖人社長)、関東では「成城石井」、クイーンズ伊勢丹(運営・エムアイフードサービス:東京都/雨宮隆一社長)などが挙げられる。

高級スーパーマーケットの研究例では、「他のチェーン店舗には見られない輸入品や高品質商品を取り揃え、価格競争によらない差別化を経営方針とするスーパーチェーン」とする見方がある。その代表例として挙げられているのは、紀ノ国屋(東京都/富田勝己社長)、クイーンズ伊勢丹、北野エース(運営・エース:東京都/北野秀雄社長)、成城石井などである。

アップスケールスーパーマーケット利用者にとってのメリット

メリットのイメージ
アップスケールスーパーマーケット利用のメリットは、一般のスーパーでは手に入りにくい食材や加工食品、輸入食品が入手できる点である。

アップスケールスーパーマーケット利用のメリットは、一般のスーパーでは手に入りにくい食材や加工食品、輸入食品が入手できる点である。また豊富な品揃えによって、生活を豊かにする新しい商品知識を得る場所にもなる。顧客にとって、アップスケールスーパーマーケットの洗練された売場での買い物は、日常とは異なるステータスを実感する場ともなる。

アップスケールスーパーマーケット利用者にとってのデメリット

アップスケールされた品揃えが期待できるが、一般のスーパーやディスカウントストアのようなEDLP(エブリデー・ロープライス:毎日低価格)のような価格施策は望めない。そのため、日常の買い物に利用する店舗としては敷居が高くなる。また、いくつもの買物を予定している場合には、手軽に買える価格帯の品揃えが期待できず、ワンストップショッピングの利便性を享受しにくい。

アップスケールスーパーマーケット先行企業の例

アップスケールスーパーマーケットの開店が目立ち始めたのは2000年前後であり、当時の注目店舗となったのがニッショーストア(現在の阪急オアシス)である。1963年に医療品メーカーのニプロ(当時は日本硝子商事:大阪府)により設立された異色のスーパーであり、2006年に全株式を阪急百貨店(現エイチ・ツー・オーリテイリング:大阪府/荒木直也社長)に譲渡、後に阪急オアシスと商号を変更し今日に至っている。

ニッショーストアは、経営方針そのものをアップスケールスーパーマーケットと規定し、生活に余裕のある中流層以上にターゲットを絞った。2000年頃の主流であった価格競争にこだわらず、品質志向のマーチャンダイジングを展開したことで注目を集めた。

さらに09年に「高質食品専門館」をオープン、「専門性」「ライブ感」「情報発信」という3つのコンセプトを軸に新たなアップスケールスーパーマーケットを展開している。コンセプトの「専門性」では、高品質に加えここにしかないという付加価値を訴求している。同じく「ライブ感」では、ヨーロッパのマルシェのような売場をイメージ、効率一辺倒ではないモノと人との行き交い、売手と買手のコミュニケーションを実現する場を目指している。「情報発信」では、本部から日々のメニューを紹介する料理教室やニュースなど、店舗では食育コミュニケーターやデジタルサイネージで旬の食材や食べ方オリジナルメニューの提案など、アップスケールをサポートする展開が進められている。

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