リベートとは?累進リベートと導入リベートの違いは?リベートのメリット・デメリットまで徹底解説!
リベートとは
ビジネスにおけるリベートとは、一般的にドラッグストアやスーパーマーケットなどの流通チャネルに対してメーカーや卸がセールスプロモーション(販促)目的で支払う販売奨励金のことを指す。
広義にはワイロ・斡旋料や得意先職員への謝礼・キックバックなど、コンプライアンス上懸念が多いものもリベートという言葉に含まれる場合があるが、ここではあくまで法令で認められている商慣行上のリベートを取り上げる。
リベートの種類
商慣行上もっとも定着しているのが、累進リベートと導入リベートだ。
累進リベートとは仕入額に対するリベートで、算定基準は「仕入れ額×リベート率」だが、リベート率は仕入れ額に応じて累進的に増える。つまり、大量仕入れをする組織小売業には有利に働きやすい。
導入リベートは、メーカーなどが特定の新製品に設定するリベートのことを指す。とくにメーカーが力を入れている新製品の導入リベートには、販路拡大・シェア確保を図るためにリベート率が高めに設定されがちだ。
チラシへの掲載・棚割での優遇など売り場への確保、返品率、サンプル配布など販促活動への協力を条件としてリベートを支払うこともある。
リベートは販管費か?売上値引きか?
メーカーや卸が支払うリベートは、日本の会計基準では販売費での処理が認められてきた。一方でグローバルな会計基準(IFRS)では売上値引きでの処理が義務付けられている。これまでは販売費として処理してきた企業が多かったが、最近はグローバル化の波を受けてIFRSへの移行と同時に売上値引きに変更する企業が増えてきた。
IFRSへの移行は会計処理の変更だけを意味しない。従来はリベートを販促費予算として取り扱い、裁量を営業部に与えてきたケースが多かったが、こういったやり方も見直しを迫られることになる。
リベートのメリット
メーカーや卸にとってリベートのメリットは、流通チャネルに対する支配権や発言力の確保にある。リベートを上手に活用すれば、売場スペースの確保、販促キャンペーンの活性化、販売シェアアップなどを実現し、競合に対し優位なポジションに立つことができる。
一方で流通チャネル側にとっても、値下げ原資を確保できるという意味でリベートのメリットは大きい。
リベートのデメリット
リベートは、経営管理やコスト上のデメリットが懸念される。
経営管理上のデメリット
経営管理上のデメリットとは、不透明な運用・ルールでリベートが決まりがちな点にある。本来ならリベート算定基準は明文化されたルールに基づくべきで、各得意先に対しても共通ルールを適用するのが理想だ。
ところが実際は、機動的な事業活動を名目に営業責任者にリベートの裁量を与えているケースが多い。強い得意先からリベート上積みを要求されて断り切れない、といったケースも起こりがちだ。
不透明な運用を放置していると、メーカー側にとっては独禁法(不当廉売等)、流通チャネル側にとっては下請法(不当減額強要)といったコンプライアンス上の問題を引き起こしかねない。
コスト上のデメリット
リベートが慢性的・習慣的に支出されるようになると、販路拡大やシェアアップといった本来の使命を果たさなくなる。そして固定化したリベートは収益を圧迫、新製品研究開発・広告・設備投資といった前向きな支出を阻害する場合がある。
リベートに関する取り組みの実例:ビール業界
リベートに関しては消費財メーカーの多くがメスをいれつつあるが、今回取り上げるのは、長年に渡ってしみ込んできた商慣行の変革に取り組むビール業界だ。リベートは売上拡大の武器となる反面、結局は安売り競争を加速させ、メーカーばかりでなく小売店の体力も消耗させる。
最近は消費財メーカーの多くがリベートに代表される流通コストを圧縮し、商品の差別化やブランディングにウエイトをシフトさせつつある。リベートによる拡販でシェア競争に血道を上げてきたビール業界にも、変化がみられる。
ビール業界でもここ数年は、ビールのリベートを圧縮、定価の維持を図りつつ、クオリティを訴求したラインナップの強化に力を入れている。ビール業界の販売戦略が軌道に乗るか、今後の動向から目が離せない。