「地元で採れた新鮮野菜を地元へムダなく届ける」青果流通の改革者が築く新常識

2025/07/15 09:00

イーサポートリンクの相原徹氏(右)とリテール&アグリサポートの塩原淳男氏
イーサポートリンクの相原徹氏(右)とリテール&アグリサポートの塩原淳男氏

 イーサポートリンクが提供する地場野菜調達支援サービス「es-Marché(エスマルシェ)」は青果売場が長年抱える課題を解決し生産者と小売・量販店をつなぐ架け橋として注目されている。昨今の青果市場における問題点とサービス導入のメリットについて、同社代表取締役社長執行役員兼COOの相原徹氏、リテール&アグリサポートの塩原淳男氏に話を聞いた。

青果部門が長年抱える、喫緊の課題とは?

─昨今の青果部門を取り巻く環境をどのようにとらえておられますか?

塩原●まず、現在の青果の価格の乱高下についてはなるべくしてなったととらえています。

 食品スーパーにはグロサリーやデリカなどさまざまな部門がありますが、唯一青果部門だけが品質が不安定です。同じ生鮮でも精肉や鮮魚は冷凍物流が主流となったことである程度調整できますが、青果部門は生産が天候等に左右されるためコントロールができません。

 とくに昨年は高温や長雨、その後の干ばつと作物を育てる環境として厳しい状況が続きました。生産現場はこういう状況ですし小売側は全体最適の中で他の部門同様、青果も在庫コントロールをしようとするので、当然無理が出てくる。足りないときはパニック状態になりますし、昨今は天候不順等によりその振れ幅が大きくなっている。小売業は青果に特化した仕入れ販売の仕方を検討する必要があるとみています。

─相原さんはこの状況についてどのような意見をお持ちですか?

相原●食品スーパーは事業の性質上、どこへ行っても同じ品質のものが買えることがコンセプトとなっており、これは青果部門においてもまったく同じです。青果の取引についても欠品させないことが一つの評価軸で、定時定量で納品できる取引先が評価されるという傾向にあります。

 また多くの小売業が青果部門を集客の要と位置づけており、特売のために商品をかき集める。大量調達・大量販売を実現するローコストオペレーションを青果でも実行しようとするわけです。規模が大きくなればなるほど一つの産地では調達できないので、中間流通も複数産地から集め、あらかじめストックしておくことになる。

 これらは日持ちがするよう早めに収穫されたものばかりで鮮度やおいしさという観点では当然劣ります。鮮度のよいものを消費者に届けるという視点で見てもこれはおかしい、というのが私の印象です。

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