カクヤス、社名を「ひとまいる」に変更! その名に込められた意味と今後の成長戦略
首都圏を中心に酒類の販売・デリバリー事業を展開するカクヤスグループ(東京都/前垣内洋行社長兼任CEO:以下、カクヤス)は、2025年7月1日付で社名を「ひとまいる」へと変更する。新たな社名の下、物流を軸とした構造改革を進め、プラットフォーム企業への転換を図るとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。5月28日に開催された飲食業界向け酒類総合展示会「KAKUYASU DEXPO 2025」内で実施された、メディア向けの事業戦略説明会の内容をレポートする。

酒類販売から販売プラットフォーム企業へ
カクヤスは国内業務用酒類販売の売上トップを誇る企業だ。25年3月期のグループ売上高は対前期比3.9%増の1345億円と過去最高を記録した。
同社はこれまで段階的に経営戦略の転換を図ってきた。90年代には安さを前面に打ち出しした「ディスカウント戦略」、2000年代には酒販免許自由化を契機とした「配達重視の付加価値戦略」、そして20年以降はM&A(合併・買収)を通じて物流や商品力を強化する「ソリューション戦略」を掲げ、成長戦略を推進してきた。

近年は、飲酒人口の減少といった構造的な変化に加え、物流業界を取り巻く環境も大きく変化している。人手不足や燃料費の高騰、EC化の進展に伴う配送ニーズの多様化など、既存のビジネスモデルでは対応が難しくなってきた。こうした状況を受け、25年からは、酒販事業に収まらず、受注から配達、決済に至る包括的なサービスを提供する「プラットフォーム戦略」を掲げた。
7月1日付での社名変更は、この戦略を進める一環として踏み切るものだ。新社名「ひとまいる」について、会長の佐藤順一氏は「『人財』によるきめ細かな対応と、ラストワンマイルにおける配送ソリューションの提供という2つの意味を込めた」と説明した。




