ファーストキッチンとのダブルネームで売上3割増!ウェンディーズの復活劇

2024/10/02 05:59
吉牟田祐司
Pocket

世界的な知名度を誇るハンバーガーチェーンながらも、一度は日本市場から撤退したウェンディーズ。再上陸を果たした後、ファーストキッチンとコラボ―レーションしたダブルネーム店舗「ウェンディーズ・ファーストキッチン」として展開を拡大している。どのような戦略によって、華麗なる復活を遂げたのか。ウェンディーズ·ジャパン/ファーストキッチン(東京都)の紫関修社長に話を聞いた。

サントリーからファーストキッチンの全株式を取得

ウェンディーズ・ジャパン
紫関修社長

 米国発のウェンディーズが日本に初上陸したのは1980年。当時、流通業最大手として栄華を極めたダイエーの資本で出発した。しかしダイエーが経営危機に陥り、2002年に牛丼チェーン「すき家」などを展開する外食大手のゼンショーホールディングスが経営権を取得。一時は大都市圏を中心に100店舗超を展開していた。しかし業績が振るわず、2009年に日本市場から撤退した。

  再上陸したのは2年後の2011年。日本に宅配ピザのドミノ・ビザを根付かせたヒガ・インダストリーズと投資ファンドが出資してウェンディーズ・ジャパンを設立する。そして2016年6月にはサントリーの完全子会社だったファーストキッチンの全株式を取得。ウェンディーズ・ジャパンの増資を引き受けたロングリーチグループが最大株主となり、ウェンディーズ・ファーストキッチンのダブルネーム店舗による出店を始めた。

  日本マクドナルドで経営戦略立案に携わり、フレッシュネスバーガーを展開するフレッシュネスの代表取締役を務めた紫関社長がウェンディーズ·ジャパンとファーストキッチンで経営のかじ取りを行うようになったのは2016年9月から。まず着手したのが都心部にあるファーストキッチンのダブルネーム店舗への転換だったという。

 「都心の真ん中で好立地の店舗から着手し、その次は大阪、京都、神奈川などでも展開していった。初年度はコストがかかることもあり、P/L(損益計算書)の伸び率は緩やかだった。その後、郊外にも展開を広げて、利益がグーンと上がったのが2019年。売上が先、少し遅れて利益が上がり、両方がピークになった」(紫関社長)

  2020年の東京オリンピック開催を控えてインバウンド需要も高かったことから、勢いに乗ったまま業績を拡大させていく見込みだった。しかし新型コロナウイルスが流行。一気に業績が落ち込んだ。

 「長く外食に携わってきたが、これほどまでに落ちるかと思った。そこからは何とか右肩上がりで、2019年と同じ程度まで売上が戻ったのが2022年から2023年。今の業績は2019年を上回っているが、2022年後半からは国際情勢の悪化と円安の影響を受けている。本来であれば売上が向上すれば、利益も急速に回復していくはずだが、そのスピードが鈍かった」(紫関社長)

  そこで利益をしっかり確保するための施策を、2023年から2024年前半にかけての1年で矢継ぎ早に打ち出していったという。円安はまだ続いているものの、結果として、しっかりと利益を確保できるだけの体制が整った。それを可能にしたのがウェンディーズとファーストキッチンがコラボレーションしたことによるシナジー効果。この1年、価格改定だけでなく、商品の入れ替え、レシピの見直しなどに積極的に取り組んできたという。

1 2 3 4
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態