フード&ドラッグ、ヘルスケア強化…フォーマット開発が加速するドラッグストア業界
ここ数年、有力ドラッグストア(DgS)・薬局チェーンによる新しい店舗フォーマットが続々と登場している。DgS業界が高い成長率を維持するためには、調剤併設推進に加えて物販へのテコ入れが急務。有力DgSが新しい店舗フォーマットの開発に乗り出すのは当然の流れだ。新しい店舗フォーマットはDgS業界の成長をけん引する次世代の“乗り物”になるか──。
伸び率鈍化で物販へのテコ入れが急務
ここ数年、有力ドラッグストア(DgS)・薬局チェーンによる新しい店舗フォーマットが続々と登場している。
背景には人口減少社会を迎えての物販の“頭打ち”感がある。
実際、日本チェーンドラッグストア協会(東京都:以下、JACDS)が2023年3月に発表した『2022年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査』によれば、22年度のDgS企業381社2万2084店舗の全国推定売上高は対前年度比2.0%増の8兆7134億円にとどまった。対前年度の伸び率は、21年度までの5年間は毎年度5%前後を維持していた(17年度5.5%、18年度6.2%、19年度5.7%、20年度4.6%、21年度6.3%)。22年度の伸び率2.0%は、DgS業界関係者が“成長の踊り場”と表現する13~15年度(13年度1.2%、14年度1.0%、15年度1.1%)以来の低い数値だ。
もちろんコロナ禍の“特需”の反動減の影響があったことは間違いないが、予想よりも低い伸び率にDgS業界関係者は肩を落としたはずだ。現在、大手DgS企業は軒並み調剤併設を推進している。22年度も「ヘルスケア」「調剤」「ビューティケア」「ホームケア」「フーズ・その他」の中で「調剤」の伸び率が対前年度比9.1%増と、最も高い伸びを示した。
ただし、22年度の薬価引き下げやチェーン薬局を対象にした調剤報酬減額の影響は十分に反映されていないため、JACDSは「実際より高めの数値であり、23年度(の実態調査)はかなり厳しい数値が予想される」としている。
DgS業界が高い成長率を維持するためには、調剤併設推進に加えて物販へのテコ入れが急務となっている。有力DgSが新しい店舗フォーマットの開発に乗り出すのは当然の流れだったといえる。