カテゴリーキラーとは?誰もが知っているあの有名店もカテゴリーキラー?徹底解説!
カテゴリーキラーとは
カテゴリーキラーとは、家電、玩具、紳士服など特定分野で圧倒的な品揃えと低価格で勝負する大型店舗のことである。
近隣にこのような大型専門店が出店すると、百貨店やショッピングセンターでは品揃えも価格も太刀打ちできず、その分野(カテゴリー)の売上が壊滅的な打撃を受けることがある。地元の小型専門店では転廃業に追い込まれることもある。これがキラー(殺し屋)と呼ばれるゆえんだ。
また、カテゴリキラーは「どの他店よりも安い」を売り文句にすることが多い。このような低価格を実現するには大量仕入れが必要で、多店舗展開でスケールメリットを図るのが特徴だ。
カテゴリーキラーのメリット
カテゴリーキラーのメリットは、専門分野において競合店が真似できない品揃えと低価格を実現できることだ。多店舗展開による大量仕入れによって、メーカーあるいは卸問屋との交渉力を強めて、仕入れコストを抑えることができるのもメリットである。また、グループ店内で在庫を融通しあうことで、大量仕入れによって不良在庫が発生するリスクを低減できる。
消費者にとってもカテゴリキラーは、相場より高い価格で商品を購入してしまう不安が小さい点でメリットがある。その安心感が「家電なら〇〇」などのブランド化につながり、売上を安定させることができる。
カテゴリーキラーのデメリット
カテゴリキラーは、百貨店などに対しては品揃えと価格で優位を確保できるが、カテゴリキラー同士の競合を避けることはできない。
同じカテゴリーキラーでも、アパレルなどでは独自の商品開発やファッション性の違いですみわけが可能だが、家電などでは単純な価格競争で利幅をますます薄くするリスクがある。過当競争を避けるには、カテゴリーキラーといえども品揃えや価格だけでなく、接客などのサービス面で付加価値をつける必要がある。
また、カテゴリーキラーは多店舗展開が必須なため、出店のための投資額や負債額が大きい。出店戦略を誤ると一気に経営が悪化する可能性がある。
近年では、アマゾンなどの巨大ネットショップが品揃えでも価格でもカテゴリーキラーの競合相手になっている。カテゴリキラーも自前のECショップで対抗しているが、知名度で劣るケースも少なくない。今後はカテゴリーキラーもEC戦略とともに、顧客がリアル店舗を訪れることに付加価値を提供する戦略が求められていくだろう。
カテゴリーキラーの実例
玩具販売のカテゴリーキラーである米国トイザらスが2017年にチャプター11(連邦破産法第11条)を申請して破綻したのは記憶に新しい。かつては、「トイザらスが出店したら周囲の玩具店は壊滅する」とも言われていたカテゴリーキラーがなぜ破綻したのか。
トイザらスは「玩具のスーパーマーケット」というコンセプトで、広い店内でカートを運びながら玩具を買い回るスタイルで米国の消費者に新鮮な驚きを与え、1988年には全米2割のシェアを誇っていた。この勢いに陰りが見え始めたのは、99年に子会社トイザらス・ドット・コムを立ち上げてネット販売を開始してからだ。
EC戦略の失敗の要因は2つあった。1つは、8000万ドルという多額の投資をしたにもかかわらず、既存店舗に配慮してトイザラス・ドット・コムに価格決定権を与えないなどの制約を課したことだ。
もう1つは、2000年にアマゾンと「トイザラス以外の玩具は販売しない」というパートナー契約を結んだことに安住して、EC戦略をアマゾンに任せきったことだ。その結果は、アマゾンからパートナー契約を解除された後、違約金はもらったがノウハウは蓄積されていないという事態になった。
もう1つ、リアル店舗とECショップの両方で売り上げを伸ばしている国内のカテゴリキラーの事例を見てみよう。 関西を中心に220店舗を展開するJoshin(上新電機:大阪府/金谷隆平社長)は、リアル店舗とともにECにも力を入れている。21年度決算では、EC売上高が717億600万円に達した。これは総売上4491億2100万円の16.0%にあたる。EC売上高は前期比25.5%増で、EC化率は2.2ポイント伸長した。
上新電機のEC部門が好調な理由は2つある。1つは、自社の「Joshin Webサイト」と楽天やYahoo!の大手ECモールへの出品の両輪をうまく回していることだ。「Yahoo!ベストストアアワード2019 年間ベストストア」で総合第2位を獲得し、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2019」では「Joshin web CD/DVD店」がジャンル賞を受賞するなど、モール内でも消費者の支持を集めている。また、特に楽天市場のとの連携を深め、リアル店舗でも「楽天ポイントカード」へのポイント付与キャンペーンを定期的に開催している。また、15年には電子マネー「楽天Edy」を導入し、2019年にはスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」をスタートした。
もう1つは、家電量販店に必須のパソコンやクーラー、洗濯機などの設置サービスシステムをECでも活用し、顧客に信頼を得ていることだ。2021年を初年度とする3カ年の新中期経営計画でも、リアル店舗とECのシームレスな営業を支える相互送客システムの整備を目標としている。