KDDI Location Analyzer KDDIと共同開発/GPS位置情報を利用しコロナ禍の影響分析も

2020/09/14 07:00
    ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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    istock.com/zhudifeng

    人の流れ、商圏が変化する“今の時代に必要な”商圏分析が可能

     スマートフォンのGPS情報を使って繁華街の混雑状況や、人の流れを把握するサービスが注目されている。とくに首都圏では、新型コロナの影響で繁華街への人出が減少し、テレワークの普及でターミナル駅の混雑が減るとともに郊外の商店街への人出が増えるなど、これまでとは大きく異なる人の動きが目立つ。そうした状況において、従来商圏分析に用いられてきた公的統計では、これらの変化を把握するのは困難である。そこでリアルタイムの人出を把握するためにスマホのGPS情報が重要になる。技研商事インターナショナルがKDDIと共同開発した商圏分析サービス「KDDI Location Analyzer」は今のニーズにマッチしたサービスとして引き合いが増えている。

    auスマホのリアルタイムのGPS位置情報を活用

    KLAの優位性をアピールする河井氏(左)と川上氏(右)
    KLAの優位性をアピールする河井氏(左)と川上氏(右)

     「KDDI Location Analyzer」(KLA)は2019年6月にサービスインしたクラウドベースの商圏分析サービス。KDDIが保有するauスマホのうちユーザーから提供が許可されたGPSの位置情報を収集し、全国を網羅してそのGPS情報を集計することで繁華街や商店街といった広いエリアだけでなく、自店や競合店といったピンポイントの場所にどれだけの人が集まっているかを可視化できるサービスだ。それに加えて全国の道路地図と連携し、どの道路に人が歩いているか、または自動車で通過しているかといった動態情報もタイムリーに把握できる。

     これまで商圏分析で一般的に使用されてきた精緻なデータとして、5年に1度実施する国勢調査がある。しかし5年に1度と更新スパンが長いため、情報の鮮度という点では課題がある。また、他の携帯キャリアによる位置情報サービスは、情報を把握するメッシュが広いことや、性別や年代などの属性データが粗いというケースもある。

     これに対してKLAは、auの契約情報をもとにKDDIが個人を特定できないように加工したデータを搭載。スマホ端末の契約者情報に基づいた性別や年代などの情報を搭載したうえで位置情報を表示する。さらに最小で10mメッシュ、通常では125mの狭域メッシュでスマホ端末のGPS情報を把握。GPSによる位置情報のデータは、最短で2分間隔で更新されるため、精度の高い位置情報データをGoogle マップ上で可視化することができる。収集した位置情報データは常時KLAで集計できるように更新されているが2年3カ月分が蓄積されており、前年度や前々年度のデータを参照し、beforeコロナ/withコロナの時系列分析が可能だ。

    単店分析ダッシュボード(ショッピングセンターの来訪者時系列推移)
    単店分析ダッシュボード(ショッピングセンターの来訪者時系列推移)

    全国の道路情報DBとも連携しより精緻な情報を提供

     「会員カードやCRMで自店の集客とPOSの連携で自店の状況は容易にわかる。しかし競合店の情報を簡単に入手することはできない。KLAならば、競合店にどれだけ人が流れているかを把握し状況を推測することが容易になる」(河井将徳・マーケティングソリューション営業部データエバンジェリスト)とKLA活用のメリットをアピールする。新規出店計画に活用するなら、競合店の状況や、ターゲットとなる年齢層などを把握したうえで出店することが可能になるわけだ。

    来訪者居住地分析(スーパーの自社カニバリと併用状況の可視化)

     それだけではなく「新型コロナによる外出自粛やテレワークで人の流れが変わっている。過去データではその状況を推測できないが、KLAならば迅速に人の動きの変化を把握できる」(河井氏)ことで「今の時代に合ったサービスだ」と強調する。とくに近年のように自然災害が頻発する状況で、住民がどこにどのような経路で避難しているかという情報も把握できるため、流通業や金融をはじめとしたサービス業だけでなく自治体でも活用する可能性がある。

     他のサービスと異なるのは、全国を網羅した道路情報DBと綿密に連携できる点。「道路のどちら向きに人が多く流れているか、交通量が多いかも可視化できる。ロードサイドに出店する場合、どこに出店するかの判断ができる」(同部川上桜子氏)と細かい位置情報を提供しているという。

    主要動線分析(渋谷駅周辺の歩行者量と時間帯別歩行者数)
    主要動線分析(渋谷駅周辺の歩行者量と時間帯別歩行者数)

    高度な分析が可能なMarketAnalyzerとも連携

     KLAは、もともとKDDIが保有するスマホ契約者の膨大なGPS位置情報をビジネスに活用するために、GISによる分析サービスで2000社の顧客基盤を保有する技研商事インターナショナルと共同開発したサービス。GPS位置情報はGIS情報と連携することで有効性が飛躍的に高まる。

    今後も機能強化を継続するとする倉本氏(右)と中山氏(左)
    今後も機能強化を継続するとする倉本氏(右)と中山氏(左)

     「最初はau端末の位置情報というビッグデータと、GIS分析をどう連携させるかが大きな課題となった」(技術開発部副部長・倉本忠氏)とスピーディな連携に苦心したと話す。「高速な応答速度を提供できるよう、DBにサンプルデータを1年分投入し、テスト・チューニングを繰り返した」(技術開発部SD1課主任・中山七美氏)とサービスインまで完成度を高めるための技術開発に難しかったと話し、「現在でもさらに快適に使えるよう改良を続けている」という。

     サービスイン直後は、分析地点を1つひとつ選択・分析するしかなかったが、全国にチェーン展開する流通業などのニーズで、複数の分析点を一括集計できるサービスもオプションで提供できるようにした。

     技研商事インターナショナルは、GIS商圏分析システム「MarketAnalyzer」を主力にソリューション提供している。さまざまなエリアデータを集積し多角的に分析することが可能で店舗経営、マーケティング戦略に活用されている。今回、それにGPS分析ツールのKLAが加わることになる。それぞれ独立したシステムでありサービスだが、「KLAの情報をMarketAnalyzerに取り込むことが可能であり、更にMarketAnalyzerの機能を補完することも期待している」(倉本氏)と、これからも「KLA」の機能強化やMarketAnalyzerとの連携強化の開発を計画していくと話している。

    2週間の無償トライアルサービスを提供

     多くの特徴的な機能で、競合するGPSサービスとの差別化を図る一環として、技研商事インターナショナルはKLAの2週間無料トライアルを実施している。確実に人の流れが変化し、商圏の状況が変化する「今の時代に合った」サービスとして、まず無償トライアルで体験してほしい、と技研商事インターナショナルではアピールしている。

    KDDI Location Analyzerの詳細と無料トライアルのお申し込みはこちら

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