数字で紐解く!ニューノーマルにおける東南アジアの小売市場の動向 #1
シンガポール
2020年上半期の小売市場
シンガポールで必須サービスを除く職場閉鎖「サーキットブレーカー」が実施されたのが4月7日である。車両販売を除く小売市場の売上は2月に前年同月比10.0%減、3月は9.9%減と小幅な減少にとどまっていたものの、「サーキットブレーカー」を導入した4月は、32.4%減となり、翌5月には45.1%減まで低下した。「サーキットブレーカー」が終了し「緩和フェーズ1」が始まった6月に小売売上は24.2%減まで戻している。
専門店チャネルのほとんどで売上が低下した。「アパレル」は、5月に前年同月比88.7%減、「時計/宝飾」が同じく5月に96.5%減と大幅に減少した。近年、支出金額の中で増加していた「化粧品/トイレタリー/医薬品」は、4月は46.4%減、5月は49.4%減、6月33.1%減となっている。一般チャネルでは百貨店が大きく91.7%減となったが、 「スーパーマーケット/ハイパーマーケット」は「サーキットブレーカー」が始まった4月には、前年同月比75.2%増、5月56.0%増、6月43.4%増と売上を大きく増やしている。「ミニマーケット/コンビニエンスストア」も売上を増加しているが、供給量や人的な対応力に限りがあるためか、5月と6月は10%弱の増加率にとどまっている。
COVID-19感染警戒レベルが第2段階の「オレンジ」に引き上げられた2月に、シンガポールのEコマース化率は7.7%に上昇し、「サーキットブレーカー」が開始された4月は17.7%と大きく上昇、翌5月には24.5%となっている。「スーパーマーケット/ハイパーマーケット」のEコマース化率は、5月には9.6%まで上昇している。専門店チャネルの中では、「コンピューター/通信機器」と「家具/家財」は4月以後、Eコマース化率が増えている。5月には、「コンピューター/通信機器」が94.3%、「家具/家財」は93.6%に達している。
シンガポールの19年通年のGDP成長率はASEAN6の中で最も低い0.8%であった。20年の第1四半期(1月~3月)の前年同期比の成長率は0.3%減となり、第2四半期(4月~6月)の成長率は13.2%減となった。20年6月時点で、アジア開発銀行は20年通年のシンガポールのGDP成長率を6.0%減と予測している。
シンガポールの小売市場
18年時点で、シンガポールの一般チャネルの中で市場規模が最も大きいチャネルは、「百貨店/ハイパーマーケット」の67億2900万SGD、一般小売チャネルの市場の60%を占めている。「スーパーマーケット」は一般小売チャネルの23%を占め、26億4100万SGD。17%を占める「ミニマーケット/コンビニエンスストア/雑貨店」は19億1600万SGDである。「アパレル」はシンガポールの専門店の中で最も大きな専門店チャネルで、2018年市場規模は49億5600万SGDである。「時計/宝飾」が2番目に大きく48億1800万SGD、「家具/家財」が38億5500万SGD、「薬局/ドラッグストア」が32億300万SGDと続く。
シンガポールの主要チャネルの中では、オンライン販売を含む「その他」のチャネルの伸びが顕著である。
「薬局/ドラッグストア」と「スーパーマーケット」は伸長のスピードが緩やかなものの堅調な成長を継続しているチャネルである。マイナス成長となっているのは、一般チャネルでは「百貨店/ハイパーマーケット」「ミニマーケット/コンビニエンスストア/雑貨店」、専門店チャネルでは。「レクリエーション」「コンピューター/通信機器」「眼鏡/本」である。
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