JA全農が「ニッポンエールプロジェクト協議会」発足、産地応援を合言葉に5メーカーが参画
JA全農では2019年より日本全国の個性豊かな農畜産物を原料とした加工品を「ニッポンエール」ブランドとして発売。さらに21年6月よりJA全農、メーカー、販売先が協力し、商品を通じて産地を応援する「ニッポンエールプロジェクト」をスタートさせた。今回、国産農畜産物の消費拡大や生産振興、フードロスの削減、規格外品のアップサイクル等に関わる企業が集い、同じテーマで商品を開発・販売する「ニッポンエールプロジェクト協議会」を設立。第1弾として、「宮崎県産日向夏」を題材とした商品を伊藤園、大関、栗山米菓、不二家、山崎製パン、全国農協食品から発売する。
産地応援を合言葉に5メーカーが参画
─あらためて「ニッポンエール」の概要についてお聞かせください。
全農・山田 JA全農では2019年4月に「全農グループMD部会」を設置し、全農グループの総力を挙げ商品開発やブランディングの強化を行っています。なかでも「ニッポンエール」は、「日本全国47都道府県から届けられる日本産のたべものに、そしてにっぽんに、ここからエールをおくろう」のコンセプトのもと企業と連携し、日本の農畜産物の新たな価値を創造し続け、これまで260以上のアイテムを展開しています。
─これまでどのような取り組みを行ってきましたか?
全農・山田 21年6月にスタートした「ニッポンエールプロジェクト」はJA全農、メーカー、販売先が協力して、商品開発だけにとどまらず、国産農畜産物のPRやキャンペーン等を展開し、商品を通じて産地を応援していこうという活動です。
初の商品化は21年6月に発売した「ニッポンエール」と伊藤園のWブランドの清涼飲料水「宮崎県産日向夏」です。産地の宮崎県から「日向夏を消費者にもっと知ってほしい」という要望をいただいていたことから、発売に合わせJA全農の刊行物や日本農業新聞、メディア向けの広告、JA宮崎経済連や宮崎県庁と合同でのオンライン発表会に加え、消費者向けに日向夏が当たるキャンペーンを展開し、好評を得ました。
─協議会設立の経緯と今回のプロジェクトについてお聞かせください。
全農・山田 ニッポンエールプロジェクト協議会は、「ニッポンエールプロジェクト」の取り組みを広げるため、さまざまなカテゴリーで賛同いただけるメーカーを募り設立しました。この協議会では国産農畜産物の消費拡大や生産振興、フードロスの削減、規格外品のアップサイクル等に関わる企業が集い、同じテーマで商品を開発・販売していきます。
協議会の設立にあたり、各方面へ案内したところ、伊藤園様を含め、大関様、栗山米菓様、不二家様、山崎製パン様に賛同いただきました。
参画メーカーとは本プロジェクトがめざす「農業の持続性を高め、国産農畜産物のおいしさや品質のよさを広めていきたい」という思いをともにし、プロジェクト第1弾として「宮崎県産日向夏」を題材とした商品をJA宮崎経済連の協力のもと開発、発売しています。
菓子、飲料、パン、酒個性豊かな日向夏アイテム
─プロジェクト第1弾で発売する商品の特長をそれぞれご紹介ください。
伊藤園・本部 当社はニッポンエールプロジェクトの参画から今年で3年目を迎えます。今回発売する「ニッポンエール宮崎県産日向夏500g」は、一昨年、昨年に続き、3回目の発売となりますが、さわやかな酸味の果肉とほんのり甘い白皮を一緒に食べた時の絶妙な味わいにこだわってつくっています。今後も産地と消費者の接点をよりいっそう拡大したいという思いを胸に、プロジェクトに賛同いただいた企業様とチーム一丸となって産地を応援していきたいと考えています。
大関・大畠 当社は昨年の伊藤園様とJA全農様の取り組み紹介記事を拝見し、本プロジェクトへの参画を決めました。宮崎県では形や見た目の問題から一部の日向夏が規格外品として処理されている背景があり、フードロス削減の取り組みに酒造メーカーとして貢献できないかという思いから「日向夏にごり酒」を開発しました。
同品は果汁を8%使用し、日向夏の特長であるほどよい甘さと、果肉の酸っぱさをバランスよく感じられる味わいに仕上げています。
栗山米菓・久代 当社は22年、ニッポンエールブランドとのコラボ商品を発売したご縁でお声がけいただき、産地応援につながる本プロジェクトの主旨に賛同し参加させていただくことになりました。
「瀬戸しお日向夏味」は、小海老を生地に練り込んで、カラッとソフトに揚げた一口サイズのおせんべいを宮崎県産日向夏の果汁を使用したパウダーで味付けしました。日向夏のさわやかな香り、甘酸っぱい味わいと揚げせんべいの相性のよさをお楽しみいただけます。
不二家・島田 当社は「農業の持続性を高め、国産農畜産物のおいしさや品質のよさを広めていきたい」というプロジェクトの思いに感銘を受け、参画いたしました。
「パレッティエ(日向夏チーズケーキ)」は宮崎県産日向夏ピールとクリームチーズ、クリームチーズチップを練り込んだ、プチタルトをイメージしたクッキーです。また「ポップキャンディ(宮崎県産日向夏)袋」は宮崎県産の日向夏果汁を使用したフルーティな味わいの棒付きキャンディとなっています。
山崎製パン・富岡 当社は地域特産物や規格外農産物を利用した商品開発に取り組んでおり、今回のプロジェクトを通じ、より多くのお客さまに各地の農産物のおいしさを味わっていただきたいとの思いから参画しました。「白いコッペパン(宮崎県産日向夏&ホイップクリーム)」は、しっとりとした白い生地に、日向夏フィリングとホイップクリームをサンドしました。また「ふわっこ宮崎県産日向夏のクリーム」は、ふわっとした食感の蒸しケーキに、宮崎県産日向夏を使用したクリームを注入しています。
全国農協食品・秋谷 当社は20年からJA全農の協力のもと、産地を応援するというコンセプトに賛同いただいた取引先様に対しニッポンエールブランドの商品を販売しています。
同ブランドは宮崎県産日向夏をはじめ全国各地の素材を使用したドライフルーツ、グミ、キャンディ等の開発をすすめ、品数も147アイテムまで広がりました。これからも協議会とともに産地と結びついた商品づくりを通じて、日本の農畜産物のよさを知っていただけるよう取り組んでいきます。
商品を通じ日本の農業と消費者を結ぶ懸け橋へ
─商品ラインアップもバラエティに富んでいますね。
全農・山田 ありがとうございます。「宮崎県産日向夏」は、宮崎県での全収穫量のうち約40%を加工用として使用しています。今回発表した商品はアップサイクル、フードロス削減に取り組むため、形や見た目の問題から市場流通できなくなった日向夏を一部活用しており、SDGsの観点からも注目度は高いかと思います。
─プロモーションはどのようなことを計画されていますか?
全農・山田 「ニッポンエールプロジェクト協議会」の設立に伴い、23年5月23日にメディア向けの発表会を開催しました。参画メーカーと合同で商品説明を行い、宮崎県庁からも応援のメッセージをいただきました。
「ニッポンエール」は故山本寛斎が設立した寛斎スーパースタジオの協力のもとデザインしており、同社のプロデューサーである山本未來氏にデザインにかける思いを語っていただきました。また、5月27日・28日には、全国3カ所の対象店舗において、「ニッポンエールまつり」と称したイベントを開催。試食やスタンプラリー、展示販売を実施することで、この取り組みの認知拡大と販売促進につなげています。さらに「宮崎県産日向夏」の認知度向上に向けたPRやキャンペーンの展開も随時実施していきます。
─最後に今後の方向性についてお聞かせください。
全農・山田 JA全農は今後も「ニッポンエールプロジェクト」の主旨にご賛同いただける皆様とともに本プロジェクトの取り組みを通じて、日本の農業と消費者を結ぶ懸け橋となり、国産農畜産物の新たな価値訴求を通じて消費拡大に貢献していきます。