消費者の行動データから、全店舗の競合分析や来店分析が実現!unerryの「ショッパーみえ〜る」
データドリブン型の店舗戦略や店頭へのIoT導入など流通業界ではデータ活用・DXへのシフトが加速している。そのような中、新たに注目すべきはECやCRMでは把握できない消費者の“リアルな”行動データだ。unerryのAIダッシュボード「ショッパーみえ~る」は、スマホの位置情報やビーコンなどから消費者行動を可視化し、DXを後押しする。
消費者理解にはリアル行動データが不可欠
株式会社unerry(ウネリー)の創業は2015年。創業者の内山英俊社長が、以前に設立したモバイルマーケティング会社で手掛けた、全国の自販機のIoT化を仕掛ける飲料メーカーとのプロジェクトがきっかけだ。「大規模だったからこそ消費者にもたらす影響も、ビジネスインパクトも大きかった。だが大規模なDXへのチャレンジができる企業は限られている」と痛感し、消費者のリアルな行動というビッグデータに注目しリテール分野のマーケティングプラットフォームを展開するため起こした会社だ。
ECや店舗アプリなどオンラインでつながっている状態で、消費者の属性を把握しネットでの行動や購買パターンを予測するのは容易だ。ソリューションも多くある。しかし日本の2019年のEC化率はわずか6.8%だ。かつて、O2Oマーケティングやオムニチャネルが注目されてきたが成功ばかりではない理由は、消費者の“リアル”を掴めていないところにあるのではないか。そのように考えると、大規模なビッグデータに裏打ちされた消費者のリアルな行動を捉えられるツールは、店舗経営には不可欠ということになる。
重要なのはデータの質×量×AI
「ショッパーみえ~る」はスマホ端末の位置情報などにより消費者のリアル行動を把握している。新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が出された際、渋谷駅周辺などの人出を観測するのに携帯電話の位置情報(GPS)が活用されていたが、それと類似の仕組みだ。
違いはその精度にある。unerryは、人の行動をGPS、ビーコンネットワーク、IoTセンサーを組み合わせて検知し、AIで解析している。複数のデータを組み合わせる理由は「GPSは十分なボリュームがあればエリアの人出が網羅的にわかるが、地下や施設内に入った時などの正確性が十分ではない。例えば地下から2階までは商業エリア、3階から20階まではオフィスエリアといった施設では、GPSだけだとビル内のどこに訪問したかわからない。自店舗にお買物に来店したのか、上階のオフィスに打ち合わせに来たのかは大きな違いだが、その識別にはビーコンやセンサーが重要になる。さらに来店した人の嗜好性やロイヤルティまで読み解くにはデータの連続性やAIがポイントになってくる。データの質、量、AIによってマーケティング上意味がある消費者理解を実現する」(内山社長)という。
その一つの形が、unerryが運営している無料サイト「お買物混雑マップ」(https://covid19.unerry.jp/)だろう。全国約48,000店舗のスーパー・ドラッグストア等のほぼリアルタイムの混雑状況を推計。密を避けたお買物をサポートしている。