シャープとNTTデータがキャッシュレス決済向け新端末・システムを共同開発
シャープとNTTデータは、キャッシュレス決済分野での新端末と遠隔管理システムの共同開発をしている。その第1弾となるのが2024年の秋以降から提供が開始されたCAFIS Arch※対応の新しい決済端末と遠隔管理システムである。両社の協業により、導入から保守メンテナンスまでワンストップでのサポートを可能にした決済システムを紹介する。
※CAFIS Archは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。

店舗運営のニーズに応えさまざまな決済手段に対応
国内のキャッシュレス決済の比率は、5年以内に40%台になると言われており、近い将来、現金決済とほぼ同等になると予測されている。小売業では、店舗運営における人手不足が課題となっていて省人化による取り組みが進められている。その解決策の1つとして期待されているのが、キャッシュレス決済である。
しかし、キャッシュレス決済においても解決しなくてはならない課題がある。「省人化対策として導入するのですから、業務を邪魔しないことが大切です」とNTTデータの加盟店ソリューション担当部長の三木孝浩氏は話す。つまり、置き場を考えた端末のサイズや操作性、スピード感、セキュリティのすべてにおいて、業務に支障をきたさないことが重要になる。
シャープのコネクテッドソリューションズ事業統轄部長の前田健次氏は「最近、利用頻度が高まっているバーコード決済は、読み取りにくいと言われています。この解決のために、新たな決済端末にはスマートフォンのカメラと同等の技術を採用しています」と話す。それによって、バーコードの認識範囲や精度が向上し、読み取りが約0.7秒で完了。「体感的にはかざした瞬間ほぼ0秒で決済できるイメージ」とのこと。スマートフォンの技術を活用することで、業務を円滑に行えるキャッシュレス決済システムが誕生した。まさに、シャープとNTTデータの強みを活かし、相乗効果を発揮することで、さまざまな決済手段を快適に利用できるようにした。
民生品に強いシャープと決済に実績があるNTTデータ
シャープは、長年にわたり消費者の生活に寄り添った家電製品やスマートフォンなどの民生品での実績があり、サービスやソリューションを提供している。NTTデータは、日本最大級である決済総合プラットフォームCAFISを小売業に提供している。
その両社が共同で開発したシステムは、CAFIS Arch対応の決済端末だ。操作をするスタッフ側と顧客側に分かれたセパレートタイプで構成されており、スタッフ側端末には、コンパクトなボディに6インチの大型ディスプレイを搭載。限られたスペースにも柔軟に設置でき、高い視認性と快適な操作性を両立している。シャープがスマートフォン「AQUOS」の開発で培った通信技術に加え、タッチ操作に連動して振動するタッチフィードバック技術やのぞき見を抑制するベールビュー技術などを応用し、快適な決済処理を実現している。

クレジットカードや電子マネー、QRコード支払いなど、さまざまな決済手段への対応を可能にし、さらに、両社の強みを生かした信頼性・機能性によって、安心で高性能な端末になっている。

導入から保守メンテナンスまでワンストップでサポート
保守メンテナンス面では、流通小売分野を中心に経験値が高いシャープマーケティングジャパンが設置と保守を担当。さらに、シャープが、企業向けのモバイル端末を統合管理するサービスの開発で培った端末の遠隔管理技術を応用することで、複数の決済端末の稼働状況をクラウドで一元管理できるシステムを新たに開発した。
クラウド管理なら、決済端末の稼働状況をリモートで確認できることから、トラブルの未然の防止や万一トラブルが発生した場合でも迅速な解決が可能。ワンストップでのサポート体制を実現している。
さらに、オプションを追加することで、導入企業は各店舗の端末の状態を遠隔でモニタリングすることが可能になり、より安心して決済端末の運用が行えるようになる。
まさに、ハードウェア量産設計・製造スキルの高いシャープと現場運用スキルの高いシャープマーケティングジャパン、そしてキャッシュレス決済スキルの高いNTTデータの三位一体による強みの融合で実現した新端末といえる。
今後について、NTTデータの三木部長は「セルフレジや無人販売などへの横展開を実現し、ビジネスの幅を広げて支援できるようにしたい」と語る。それには、クラウドの危機管理機能の向上が必須と考えている。シャープの前田統轄部長は「スマートフォンの技術を活用し、豊かな社会づくりに役立てていきたい」と語る。