第三回Microsoft Retail Open Lab 『AI時代の流通業界のプラクティスと新たな展望』セミナー開催レポート【後編】

2024/08/09 09:00
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【講演】
「生成AI時代の流通業DX促進に向けたご支援策」
マイクロソフトコーポレーション 
リテール&コンシューマーグッズ日本担当インダストリーアドバイザ
藤井 創一 氏

藤井 創一 氏

「お客様中心」を実現するためにデータとAI活用が必須

 2024年6月11~13日の期間で、NRF APACがシンガポールで初開催されました。日本からも数多くの流通業界の関係者が参加しました。NRF APACではカンファレンスのテーマとして「Fast Track Your Success(成功への近道)」が掲げられていました。カンファレンスの各セッションをとおして、必ずキーワードとしてあがっていたのが、「お客様中心」というワードでした。「アジアにおいて、各地域特性を把握して、お客様に寄り添ってビジネスを展開していくためには、Hyper Personalizationの考え方がより一層求められます。その実現のためには、データが重要であり、AIが必要不可欠になっていると数多くのセッションで語られていました」と藤井氏は注目しています。IDCよると、「流通業ではAI投資により3.45倍のROIを実現」という調査結果も報告されています。

 マイクロソフトは、今年1月にAIとの関係性についてメッセージを変更しました。それが「AIで開放するリテールのポテンシャル」「Retail Unlocked」というテーマです。内包するテーマとして、「データによる新たな価値創出」「顧客エンゲージメントの向上」「リアルタイムなサプライチェーン」「従業員の業務効率化と働き方改革」の4つを掲げています。「AI時代の信頼できるデジタル基盤と価値を提供することがマイクロソフトの最上位の概念となっています」と藤井氏は話しました。

AIが進化し流通業界での活用も拡大

 昨年4Qから今年1Qの期間で、アジアにおける流通業、消費財メーカーのお客様に対してマイクロソフトが行った調査で、「生成AIを正式に採用し、実業務やビジネスで利用している」と回答した企業は60%超という状況でした。さらに「検討ユースケース数」では200%増になっており、ここにきて急速に生成AIを活用し、その範囲を拡大しようとする企業が増加しています。

 生成AI導入が活発化する中で、マイクロソフトは5月に技術者に向けて「マイクロソフトビルド2024」というイベントを開催しています。今回はAI中心にアップデートが行われ、CopilotPCCopilot stackMicrosoft Copilotが発表されました。一例を挙げればCopilot PCの出荷が始まりました。これは新しいSurfaceブランドのPCで、今回新たにNPUというAIを扱うのに最適なプロセッサーがこのPCに搭載されました。エッジでAIのモデルが動く時代になったことで、環境やテーマに応じて、AIを最適に使えるようになるとアピールしていました。マイクロソフトとしてセキュアな環境でビジネスでも安心して利用できるために、Azure上で生成AIのサービスを提供しています。

 ChatGPTのような大規模のLLMモデルだけでなく、特定業務に特化したSLMモデルについても、マイクロソフトのプラットフォームから提供し、流通業や消費財メーカーに伴走しながらビジネスでのAI活用拡大をサポートしていく考えです。 

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