サンドラッグ 全社で男性育業を推進 復職フォローの仕組みで育業の取得率アップ
サンドラッグでは、従業員が仕事と家庭の両立を図り、安心して働き続けられるライフ・ワーク・バランス実現への取組を推進している。これまで育児休業制度をはじめ各種制度を導入し、女性活躍や子育て支援に積極的に取り組んできた。さらに、男性従業員の積極的な育児への参加を促すために社内の仕組みを整えることに着手。男性従業員の「育業」※1を積極的に推進するため、独自の職場への復職フォロー制度を導入するなどの環境づくりを進めている。その結果、男性の育業取得率は都内の企業の平均を大きく上回るなど、取組の成果が上がっている。
従業員満足度の向上を図るために男性の育業を推進
サンドラッグは、子育て支援に積極的に取り組んでいる優良企業として、厚生労働省から認定され「プラチナくるみんマーク」※2を取得している。
この子育て支援には、子供が3歳まで延長できる「育児休業延長制度」※3や子供が小学校6年生終了まで延長できる「育児時短勤務制度」※4など、法定の制度を上回る充実した制度が用意されている。

その反面、女性従業員の構成比率が約7割と高いことから、男性の子育て支援については、仕組みや規定の整備などの課題があった。2018年から「働き方改革の1つとして、社内で検討し議論を重ね、業界のリーディングカンパニーとして、男性の育業取得率向上を推進することになりました」と人事部の浅海敏彦部長は話す。
男性育業の不安解消と職場理解を促進
同社では、男女問わず従業員が活用できる福利厚生を分かりやすくまとめた冊子「ライフステージアドバイスブック」を配布。さらに、社内イントラネットでも公開しており、制度を社内に周知している。
情報の発信以上に同社が重視しているのが、上司の育業に対するフォロー体制である。出生届とともに、育業に関するアンケートを人事部へ提出する仕組みをとっているが、育業することを迷うケースがある。その際は、人事部が、その従業員の上司に伝え、迷う理由などを聞くために声がけを必ず行うようにしている。「周囲の業務負担や業務復帰に関わることなどを考えて、育業を躊躇してしまうケースがあります。そこで、上司が中心になって、業務や人員の調整をするなどの対応をすることによって、不安を解消できるようにしています」と浅海部長。
育業中の従業員のフォローという課題については、従業員の病気や怪我などによるフォロー体制が従来から整えられていたので、それを活用して、業務のバックアップ体制に活用。店舗や本部においてマニュアルが整備されていることなどにより、業務の引き継ぎについても、全体の業務の状況を見ながら複数の従業員で分担するなど、柔軟に対応でき、業務負担の増加をできる限り軽減することで、職場の理解を得られるようにしている。
サンドラッグの福利厚生をわかりやすくまとめた冊子「ライフステージ アドバイスブック」

男性の育業取得率の大幅アップを実現
育業に対して柔軟に対応できる運用と上司の声がけによるフォロー、そして職場理解の推進を積極的に実践したことで、2024年3月期における男性の育業取得率は84.8%となり、都内の企業の平均取得率(38.9%)※5を大きく上回ることとなった。
育業の推進は企業価値の向上にもつながっている。たとえば、就職活動における会社説明会の際、複数の会場で男子学生から育業に関する質問があるなど、男性の育業への興味や関心度が高まっていることもあり、人材確保の面でも効果が上がっている。さらに、従業員の育業で得た知見や経験が、ベビー用品や育児関連商品のプライベートブランドの商品開発に役立つ可能性があるなど、その効果に同社は期待を寄せている。