「運動たんぱく」から「生活たんぱく」へ
たんぱく質ビジネスのカギを握る最新情報とは

2023/03/31 07:00
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生きていくために不可欠な「生活たんぱく」

こうしたなか、にわかに注目されているのが「生活たんぱく」という考え方だ。たんぱく質といえば、「体をつくる」栄養素としてよく知られているが、「体を整える」上でも大きな役割を担っていることはあまり知られていない。実は、生体機能の調節機能にもたんぱく質は大きな役割を担っている。例えば、感情や記憶、睡眠に関わるホルモンや消化機能に関わる酵素は、たんぱく質を材料にしてつくられている。また、免疫機能の維持にもたんぱく質は欠かせない。細菌やウイルスなどから体を防御する役割を果たす抗体は、たんぱく質が原料だからだ。しかも、たんぱく質が分解されてできるアルブミンの血中値が低いと、抗体産生量が低下することもわかっている。

つまりたんぱく質は、運動したり筋肉をつけたい人のためだけのものではなく、健康でいきいきとした生活を続けたいすべての人にとって不可欠であり、こうした生きていくために必要なたんぱく質を「生活たんぱく」という。いまやたんぱく質は、従来の筋肉を維持増進するために必要なものという考え方から、人の体機能を左右する重要な栄養素であるという考え方へと変わってきている。アスリートや筋トレを行う人だけでなく、子どもから高齢者まで、すべての人にしっかり摂ってもらいたい栄養素、それが「生活たんぱく」だ。

体をつくる・整えるたんぱく質

専門家による最新情報と生活者の健康意識を知る

たんぱく質摂取不足が問題視される今、どのようにして「生活たんぱく」摂取の重要性を広く知らしめ、健康・ウェルネス業界のビジネスにつなげていくか。マーケティングや商品開発などを考えていく上で役に立つのが、ウェルネス総研による最新情報だ。

2020年8月に設立されたウェルネス総研は、ビジネスの側面から健康・ウェルネス市場の発展に貢献し、人々の健康やQOL向上をサポートしていくことをミッションとしている。独自の視点で健康・ウェルネスに関する情報の収集・集積・発信を行っており、たんぱく質に関してもさまざまな専門家と連携。「ウェルネス総研レポートonline アジェンダ特集『NOたんぱく、NOライフ!』」(https://wellnesslab-report.jp/feature/tanpaku/)というタイトルのもと、たんぱく質に関する詳細情報を提供している。

また、10代から70代までの生活者を対象に健康・ウェルネスに関する意識と行動を分析した調査レポート「ウェルネストレンド白書 2022Vol.2」も発行しており、「現場で本当に使えるデータ」との呼び声が高い。というのも、膨大な数のデータをプロファイリング分析によって、生活者を7つの健康セグメント(健康ストイック層、健康コンシャス層、コツコツ健康層、ラクして健康層、まだ大丈夫層、トレーニング大好き層、健康無関心層)に分類しているからだ。性別や年齢を切り口にした従来の分類法では、生活者の実態が埋もれてしまう場合もあり、マーケティングや商品開発の現場では通用しなくなる。そこで、「ウェルネストレンド白書」では同じような価値観をもつ人をグルーピングし、生活者のリアルな姿をあぶり出している。

2022年5月に刊行された「ウェルネストレンド白書 2022Vol.2」(https://wellness-lab.org/trend-02/)では、市場の動向をタイムリーに反映し、三大栄養素である「タンパク質」「脂質」「糖質」の志向性を深掘りしている。その調査結果によれば、図表②に示す通り、すべての健康セグメントに共通して、たんぱく質の摂取意向は高い。

三大栄養素の摂取意向
図表②三大栄養素の摂取意向調査  出典:一般社団法人ウェルネス総合研究所「ウェルネストレンド白書2022」

たんぱく質摂取不足という社会課題に直面する一方で、たんぱく質ブームに沸く今、こうした最新情報をたんぱく質商品の開発やマーチャンダイジングに生かし、日本人の健康寿命の延伸と健康・ウェルネス市場の活性化に貢献していきたいところだ。

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