RFIDは日本酒の流通をどう変えるか?
〜サプライチェーンの革新を目前に控えた物流・流通におけるRFID活用〜
可視化された獺祭のサプライチェーン
経済産業省は2017年に「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表した。これは、労働力不足や食品ロス削減といった社会的課題を解決するため、2025年までにコンビニ大手5社が全取扱商品にRFIDを付けることを目標としたものだ。
RFIDはすでに世界の大手アパレル企業の多くで活用されており、導入企業においては欠かせない技術となっている。しかし、アパレル以外の食品・消費財業界を見てみると、本格的な導入に踏み切ることを躊躇する企業が多く見られる。
一方で、日本を代表する銘柄である「獺祭」の蔵元である旭酒造(山口県/桜井一宏社長)は、RFIDテクノロジーを実装し、製造から販売に至るエンドツーエンドのサプライチェーンを可視化する、という経済産業省のプロジェクトの趣旨に賛同し、参加を表明した。
酒蔵の追加投資や作業工数を最小化するため、既存のボトルラベラーを使用したまま、ボトルにRFIDを統合することが重要な要件となった本プロジェクト。一見簡単に聞こえるこの条件だが、実現のためには右に記された5つの工程に知見と経験のあるパートナーが必要とされた。
世界最大のUHF RFIDパートナーであるAvery Dennison Smartracは、様々な業界とのパートナーシップを通じて培われた経験と最高水準の製品を駆使してこれを支援。酒蔵から酒販店までのサプライチェーンをデジタル技術を使ってトラッキングすることで、「いつ」「どこに」「何が」といったモノ流れをリアルタイムで可視化するソリューションの構築を支援した。
このプロジェクト全体を受託したみずほリサーチ&テクノロジーズの阿部一郎上席主任コンサルタントは「Avery Dennison Smartracは、世界的に活躍しているトップ企業であり、ソリューションに安心感があった」とコメントしている。また「一般的に、RFIDは業務の省力化を目指すものだと認識されることが多いが、メーカーだけではなく、販売者や消費者など全体最適を実現する仕組みとして訴求していく必要があると感じている」とも語っている。
SDGsへの貢献へと繋がるサプライチェーン可視化のメリット
RFIDがもたらすメリットは個品のトラッキングだけではない。商品だけではなく、個別IDと原料を紐付けることで、原材料にまでさかのぼってトレーシングすることができ、また、温度センサーを備えたRFIDタグを活用すれば、流通工程全体を通して適切な温度帯で商品が管理されたかどうかを可視化することも可能となる。人々により多くの選択肢を提供できるようになるため、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献にもつながるはずだ。
本事例についてより詳細を知りたい方は、是非ともAvery Dennisonのホームページへアクセスしてほしい。最新のRFID活用事例に加え、本事例の詳細をまとめたPDFを無料で提供している。
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