よりよい売場・職場づくりは“安心・快適な”環境づくりから空気環境を支えるクボタ「ピュアウォッシャー」
新型コロナウイルス感染症の拡大は、店舗や職場における「空気環境」のあり方、考え方を一変させることとなった。「安心性」「快適性」がいっそう問われるなか、この課題に取り組んでいるのがクボタだ。同社が販売する業務用加湿空気清浄機「ピュアウォッシャー」の開発背景、特長、活用事例を紹介しながら、流通業界における、これからの時代の空気環境のあり方を考える。
クボタの「水環境技術」と「空調技術」を融合して開発
2020年で創業130周年を迎えたクボタ。コレラが流行していた創業当時、上水道施設整備の必要性の高まりを受け、水道用鉄管の開発に着手し、日本初の国産化と量産化に成功した。以来、高度浄水から下水処理まで「水」に関するさまざまな製品・サービスを展開し高い評価を得ている。
一方でクボタは、高度経済成長期以来、高層ビルやショッピングモール、精密工場、データセンターのクリーンルーム施設など、さまざまな施設における空調機を製品化してきており、「空調」に関する事業についても、およそ50年の歴史を有する。
クボタ計装の吹原智宏代表取締役社長は、「これら『水環境技術』と『空調技術』を生かしたのがピュアウォッシャーである」と語る。
2000年代初頭のシックハウス症候群やSARS、PM2.5による大気汚染などに端を発し、空気に対する問題意識が社内で高まっていた。当時、家庭用空気清浄機は市場に数多く存在する一方、パブリックスペースや大空間向けの製品がなかった。
そこで、「水」と「空調」の技術を生かして、業務用、大空間向けに何かできないかと考えたことをきっかけに、2012年ごろに企画が始まった。
大空間でも一台でカバー自動給排水で手間いらず
「除菌、消臭、加湿、空気清浄、電解水取り出し」といったさまざまな機能を持つ「ピュアウォッシャー」。同製品の特長は、以下の点にあると吹原社長は語る。
「1つ目は、大空間(最大適用面積200㎡)で使用できる「業務用」であること。家庭用の空気清浄機の場合、複数台設置しなければならない空間でも、一台で一定の広さをカバーできます。
2つ目が、機内で「空気を洗う」エアワッシャ技術。取り込んだ空気を機体内で水と接触させ、菌やウイルスなどの微細な浮遊物まで水で捕えて物理的に取り除きます。吹出口からでるのは加湿された綺麗な空気です。捕えた菌やウイルスは、微酸性電解水で分解することによって、機内を清潔に保つことができます。
3つ目が、「手間いらず」の自動給排水、タイマー機能。従業員の方々の手間や労力を軽減することができます。
また、「ピュアウォッシャー」は、機内で生成した微酸性電解水を簡単に取り出すことができます。それを使用して、テーブルや手すりなど、室内の手が触れる部分の拭き掃除や消臭にご活用いただけます。空気をきれいにするだけでなく、室内の除菌もサポートできればと考えます」
1台で大空間(テニスコート1面分、約200㎡)をカバーできる性能を有しながら、設置しやすいコンパクトな筐体サイズを実現できたのは、同社のかつての自動販売機事業で培った筐体技術が生かされている。
クボタの空調、水、自販機と、さまざまな技術者の知見と技術が集まって誕生したのが「ピュアウォッシャー」である。
店舗やオフィス、工場と導入ケースが多彩に
2016年1月に発売された「ピュアウォッシャー」は、当初、介護施設を中心とした導入がメーンであった。その後、社会情勢の変化もあり、一般企業やホテル、商業施設とさまざまな業種に広がっている。
ある店舗では、店内の衛生管理と快適空間を保つことと同時に、乾燥から商品品質を守るための湿度の快適化を実現するために導入された。
あるオフィスでは、室内の臭いや空気の乾燥への改善要望が従業員からあり、導入。「夕方ぐらいから喉が痛くなることがなくなった」「咳が出なくなった」「適度な湿度が感じられて過ごしやすい」と体調がよい方向へ改善されたという。
コロナ禍を経た、空気環境における安心感・快適性への関心の高まりも相まって、このように、さまざまな企業からの導入依頼や問い合わせが増えている。
吹原社長は「発売から4年間で約600台だった販売台数は、この社会情勢もあり、今年に入ってからさまざまな業種の方々からお問い合わせをいただき、2020年10月現在で約1,000台に達しました。クボタとしましては、感染症対策をはじめとする「安心」づくりだけでなく、湿度の問題や花粉対策など、その空間を利用するさまざまな人々の多様な欲求・課題に対応することで「快適」も合わせて提供したいと考えます。