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ヨークパークの 前哨戦 ?ヨークベニマル古河店のMDを徹底調査

ヨークベニマル(福島県/大髙耕一路社長)は2025年2月、茨城県古河市内に大型店「ヨークベニマル古河店」(以下、古河店)をオープンした。

市内初出店となった同店は、3月14日にグランドオープンを迎えた「ヨークパーク」、その核店舗であり旗艦店「ヨークベニマル西ノ内店」(福島県郡山市)の“前哨戦”ともいえる店舗とみられる。古河店の売場づくりや商品政策(MD)の変化について、現地調査した。

※文中の価格はすべて税抜、売場写真は本誌取材時のもの

“初物揃い”の再開発エリアに出店

 古河店は、JR宇都宮線「古河」駅から約2㎞の場所、住宅や商業施設などの建設が進む再開発エリア内に立地している。古河市内の循環バスを利用することで駅からも容易にアクセスできるほか、店舗前を走る道路は国道125号線と接続しており、クルマを利用した広域からの来店客も多い。

 調査時は午前中から駐車場の8割近くが埋まっており、市内初出店ながらもすでに多くのお客から支持を得ていることがうかがえた。クルマの利用が多い同市内においては、こうした立地は駅前よりも好条件な立地と言えそうだ。

ヨークベニマル古河店外観
古河店の出店敷地内ではすでに「カインズ」「スターバックスコーヒー」が開業していたほか、3月7日には古河店の2階に「無印良品」がオープンした

 同じ敷地内にある「カインズ」「スターバックスコーヒー」「無印良品」も同市内初出店であり、全国的に知名度のある大手チェーンとの共同出店となったことも、古河店が集客に成功している要因の一つだろう。

 競争環境に目を向けると、3㎞圏内に「イオン古河店」「ヤオコー古河大堤店」「ジャパンミート卸売市場古河店」「TAIRAYA古河店」などが集積しており、競合は激しい。

 ヨークベニマルは、「イトーヨーカドー郡山店」を再開発した「ヨークパーク」(福島県郡山市)を3月14日にグランドオープンしている。同施設内には、旗艦店「ヨークベニマル西ノ内店(以下、西ノ内店)」が入る。施設全体として広域からの集客を前提としているため、ヨークベニマルはこの西ノ内店で、ハレからケまで地域の需要に広く応えるMDにトライしている。

 古河店は、この西ノ内店の“前哨戦”の位置づけと推測され、旗艦店MDを構築しようとする意識が随所にみられた。加えて、これまでのヨークベニマルの強みは残しつつ、効率化・省力化の両立にチャレンジする姿勢も感じられた。

売場で目を引く、ばら売りの陳列

 古河店の売場面積は2434㎡で、ヨークベニマルとしては大型店の位置づけとなっている。入口は青果側、総菜側にそれぞれある。隣に「カインズ」があるためか、総菜側の入口からもかなり多くのお客が入店していた。

 青果側からの入口から入ると、主通路沿いに和日配、鮮魚、精肉、洋日配、総菜、ベーカリーの順に続き、売場中央部に加工食品や冷凍食品、酒類、日用品を展開するオーソドックスなレイアウトだ。ただ、生鮮4部門の売場を広く確保しているため、相対的に加工食品などの売場スペースはやや抑えめな印象を受けた。

 広々と展開する青果では、野菜・果実ともに品揃えは豊富で、エンドの展開や売場の各所での突き出し商品の設置など、ヨークベニマルの強みである「テーマが明確な売場づくり」が徹底されていた。

 また、入口から見て左側の壁面にはカットフルーツコーナーを配置。同社が強化するインストア調理による出来たてと鮮度が打ち出されていた。

青果売り場りんご
青果では果実類を中心にばら売りで販売。斜めの平台に陳列することで、少量でも見栄えのする売場になっている

 調査時は、最前面の平台でピーマンとにら(各98円)などのお買い得商品を打ち出していたが、平日だったこともあり、開業時のようなボリューム陳列は見られなかった。平日と土日で変わるお客のニーズに合わせ、陳列の手法やオペレーションを切り替えているのだろう。

 また、野菜類を中心にばら売りを各所で行っているのも目を引いた。トマトはくぼみのついた什器に一つひとつ陳列するなど、ボリュームを出さずとも、見栄えがよい売場をつくる工夫もみられた。

大容量パックで価格訴求する精肉

 その先、コーナーで展開する鮮魚は、生鮮3部門の中では少し売場が狭いものの、鮮度のよいものを販売しようという意識を感じた。店舗入口から見て正面奥側の壁面で丸魚の対面販売をするほか、左側壁面では魚卵や干物をコーナーでまとめるなど、幅広いラインアップと鮮度を追求した商品づくりがみられた。

 少し気になったのは、冷蔵平ケースと多段ケースの使い方だ。

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