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なぜライフは強いのか?巨艦店「セントラルスクエア押上駅前店」の現在・後編

食品スーパー最大手、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)の巨艦店「セントラルスクエア押上駅前店」(東京都墨田区:以下、押上駅前店)。広域からの集客だけでなく、東京スカイツリーから目と鼻の先という好立地によるインバウンド需要も追い風となり、その年商は「52億円にまで上がってきている」(岩崎社長)というほどだ。前編では、1階の総菜・酒類売場をレポートした。後編では、生鮮食品、日配、グロサリーの売場が広がる、同店の地下1階を見ていこう。
※本文中の価格はすべて本体価格

押上駅前店地下1階の売場レイアウト

色彩を重視した「生鮮ゾーン」を展開

 押上駅前店の店内、駅側の入口近くにあるエスカレーターを降りていくと、赤・黄色・緑と、生花や果物の鮮やかな色が目に入ってくる。
 同店の地下1階売場は、青果、鮮魚、精肉からなる「生鮮ゾーン」がメーンとなっている。買いやすさに長けた売場スタイルだ。
 各部門の特徴を見ていこう。エスカレーター側から見て最前面にある青果売場は約100坪のスペースで展開する。「カットフルーツ」「トマト」「バナナ」「有機野菜」「ひだまりの郷」などをそれぞれコーナー展開しており、“島陳列”を駆使することで立体的な売場を演出している。とくに目を惹くのがトマトコーナーで、「輸入フルーツ」は圧巻の品揃えである。
 鮮魚は「金目鯛」「真鯛」「いしだい」「めばる」などの丸物を充実させている。丸物コーナーの前には専任スタッフを配置しており、お客の要望を聞いて調理対応もする。
平場では「真いわし」「真あじ」などを訴求するほか、「まぐろ」「サーモン」「鰻」「エビ」など素材別に商品を並べている。素材だけでなく寿司をはじめとした即食品も揃えており、寿司コーナーは「うを鮨」の屋号を掲げ、「生本まぐろご馳走うを鮨6種類杜(15貫)」(1980円)や「10貫」(980円)を販売。「贅沢いくら丼」(1280円)、「つけまぐろ丼」(598円)、「漁師めし」(500円)などの丼物も揃える。
 精肉売場は銘柄牛を充実させており、黒毛和牛では「5等級鹿児島牛」や「信州蓼科牛」などを扱う。輸入牛では豪州産「アンガスビーフ」を前面に打ち出している。ここでも即食コーナーを展開しており、「お肉屋さんの総菜」コーナーでは「ロースカツ」(338円)、「黒豚串カツ」(128円)、「仙台牛コロッケ」(168円)など素材にこだわった肉総菜を品揃えする。精肉では毎週土・日曜の販促を重視しているようで、調査日は「5等級長崎壱岐牛」の2割引セールを試食販売とあわせて実施していた。

地下1階最前面の青果売場(写真はオープン当時のもの)

 精肉売場から続く店舗奥側の壁面では、和日配売場を展開。卵、豆腐、水物などを揃え、豆腐コーナーで「とうふ工房石川」を品揃えするなど、“こだわり商品”も豊富に扱う。続く洋日配売場も壁面で展開しており、牛乳・果汁飲料などチルド飲料に加え、「モチクリーム」「モンブラン」といった冷凍デザートも導入している。
売場中央付近に配置した加工食品売場は質感を重視した商品構成で、こだわり商品、NB、PBをバランスよく揃えている印象だ。こだわり商品に関しては、「ドレッシング」「たれ」「ポン酢」「ジャム」などプレミアムラインのPBも挿し込んでいる。
エスカレーター側から見て奥側に配した菓子売場では、お客を呼び込むための工夫が凝らされている。「駄菓子」「ポケット菓子」などキッズ向けの菓子を中心に構成する「スイーツコーナー」を約30坪で展開。同コーナーの入口ではキャンディーやチョコレートなど約30SKUを1カップ298円で詰め放題販売を実施しており、お客を強烈に引きつけている。

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ライフの強さは現場力にあり!近畿圏と首都圏で運営を独立させることのメリットとは!?

ライフが“二頭立て”経営を推進する意図とは

 東京以外を拠点とする食品スーパーチェーンが首都圏進出を挫折したケースを筆者は数多く目にしてきた。近畿圏と首都圏では生活習慣や商慣習などが異なるのが主な要因だろう。
 筆者は以前、ライフの清水信次会長をよく知る人から、「会長が『東京は魔都だ』と述べていた」と聞いたことがある。清水会長はおそらく、首都圏の魅力と(攻略する)難しさを、直感していたのではないだろうか。そしてその意識が、首都圏と近畿圏の“2都”で運営を独立させ、競わせることで首都圏を攻略するという戦略につながっていったのかもしれない。

「押上」駅側からみた「セントラルスクエア押上駅前店」


 「ライフの強さは何か」――。問われたならば、それは現場の販売力だと筆者は答える。
 その礎になっているのは、各部門責任者の仕事に対する姿勢であると思われる。ライフの売場を見ていると、本部による多少の縛りはあるが、「あくまで稼ぐのは現場である」という現場主義が徹底しているのが伝わってくる。売場のいたるところで売上をアップするための仕掛けがなされている。そして、押上駅前店をはじめとした東西の旗艦店舗の好調がライフの強さを支えるエンジンとなっている。
 ライフの最新期(19年2月期)の売上高は6898億円で、7000億円の大台も見えてきた。その先に見据えるのは「1兆円企業」か。高い目標に向かって現場力を鍛えるライフの経営姿勢が、この巨艦店からは伝わってくる。