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スナック市場、土産物需要やオフィス需要が回復 新たなニーズや価値の創造が活発化

2023年は、新型コロナウイルスの5類移行による経済活動の活発化や価格改定などの影響から、生産数量、生産金額、小売金額ともに前年を上回ったスナック市場。この1年の期間通算金額PIはすべての月で前年超え、なかでも「成形ポテト(スナック)」が好調な推移を見せている。

スナック市場のこの1年の期間通算金額PIはすべての月で前年超え、なかでも「成形ポテト(スナック)」が好調な推移を見せている(i-stock/beats3)

スナック市場は前年比増を維持、成形ポテト(スナック)が好調

 全日本菓子協会によると、2023年のスナック菓子(ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系)の生産数量は28万8489トンで、対前年同期比2%増、生産金額は3752億円で同12%増、小売金額は5304億円で同11.2%増となった。2年連続で、生産数量、生産金額、小売金額ともに前年を上回った。

 コロナ禍前の2019年と比べると、生産数量では依然及ばなかったものの、生産金額や小売金額は、同水準を確実に超える状況だ。土産物や進物用の需要やオフィス需要の回復が見られるとともに、新たな需要や価値の創造に向けた新商品の開発や健康志向商品の強化などが見られた。

 KSP-POSデータによると、スナックの期間通算(2023年11月~2024年10月)の金額PIは1万4654円と、対前年同期比5.51%増。月別で見ると、すべての月で前年超えとなった。内訳を見ると、期間通算数量PI増減率119.35%、期間通算金額PI増減率129.28%の「成形ポテト(スナック)」が好調に推移している。

今後も続く見込みの価格改定、需要や原材料の動向に注視

 スナック市場で高いシェアを占めるカルビーは、北海道産じゃがいもを100%使用した新ブランド「じゃがいも感。まろみ岩塩味/じんわり北海道バター味」を11月から新発売。

 カルビーは、これまでも1年を通じて季節に合わせたおいしさが味わえる“四季を巡るポテトシリーズ”を展開してきたが、「じゃがいも感。」は、じゃがいもへのこだわりと貯蔵技術の高さを伝える“冬春限定”の厚切りポテトチップスとなっている。

 湖池屋は10月、「KOIKEYA FARM 黄金の果肉 天海の焼き塩/白金ダンディ すじ青のり」を発売。究極のおいしいポテチを実現する湖池屋のプロジェクト「究極のポテチ計画」から、7年にもわたる歳月を経て2品が定番化した。

 相葉雅紀さんを起用したプロモーション施策も話題となり、発売後2週間で初月の販売目標金額を達成するなど絶好調だ。

 東ハトからは、ザックザクの食感が特長で食べごたえ抜群のポテトスナック「ギザじゃが バターしょうゆ味/絶品めんたいマヨ味」が9月から新登場した。

 深いギザギザのポケットがシーズニング(味粉)をしっかりキャッチし、濃いめの味付けを楽しめる。ギザギザ形状により、指でつまむ接地面が小さくなり、指にシーズニングがつきにくいのもうれしいポイントだ。

 ヤマザキビスケットは、「チップスターSWバターしょうゆ味」「チップスターL 紀州の梅味」を新発売。「プレミアムチップスター」からは、新年を祝う新春特別パッケージの「海老(10%増量)」も発売した。

 原材料価格、エネルギーコスト、物流費などの高い状況が今後も続くと予測されることから、引き続き菓子の価格改定が見込まれる。内需では、消費者の節約志向の高まりによる影響も懸念されるが、外需では海外経済の底堅さからの輸出増加やインバウンド需要なども期待される。

 今後は、内外の諸要因による菓子需要全体の動向に加え、主要原材料の現況などについても、しっかり注視していく必要がありそうだ。