2024年のチーズ市場は、前年からの価格改定が一巡し、金額と数量ベースでの開きが縮小している。とくにカマンベールチーズやフレッシュモッツァレラ、クリームチーズなどの高価格帯のチーズが好調。市場は全体的に回復基調にあるといえそうだ。
ビールに合うコンセプトの直食系チーズが続々
KSP-POSデータのプロセスチーズの期間通算(2023年10月~24年9月)の金額PIは、8796円で対前年同期比1.6%減、数量PIは45.80で同7%減。ポーションチーズが苦戦していることから金額・数量ともに前年割れとなった。
また直食系チーズも厳しい状況だ。チーズといえばワインといえるほど切っても切れない関係だが、ワインの消費量が減少していることが直食系チーズ減少の一因となっている。
そこで森永乳業では、ビールに合うことをコンセプトにした「クラフト 魚Chee(ウオチー)」シリーズを昨年発売し、堅調に推移。今期はそのまま食べるだけではなく、おにぎりの具材にするなど、新しい食べ方を提案している。
明治では、十勝産チェダーチーズの濃厚な味わいと刺激的なブラックペッパーの組み合わせの「明治北海道十勝スマートチーズ熟成チェダーブレンドブラックペッパー入り」を今年3月に発売。パッケージではビールのおつまみとして訴求し、好調に推移している。
雪印メグミルクでは「6Pチーズ」の発売70周年を記念して、北海道産生乳を100%使用した「6Pチーズ酪農大地の恵み」を新発売。同社独自の原料チーズ「芳醇ゴーダ」をブレンドした、ちょっと特別な「6Pチーズ」に仕上げた。
一方、市場ボリュームは小さいものの伸長が続いているデザートチーズ市場。この秋には、明治とフランスの大手乳業メーカー・サヴァンシア フロマージュ&デイリー社と共同で、本場フランス産クリームチーズを使用した「明治サンモレ クリームチーズデザート」を新発売。
形状や味わいなど、斬新な商品として話題となっており、順調な出だしだ。
ナチュラルチーズは金額・数量ともに前年並み
ナチュラルチーズの期間通算の金額PIは、7577円で対前年同期比0.6%増、数量PIは24.22で同1%減と、金額・数量ともに前年並みとなった。
ナチュラルチーズで好調なのが、フレッシュモッツァレラチーズ。サラダなどにそのまま使えるひとくちタイプが日常使いとして浸透し、市場を押し上げた。
森永乳業では、バジル液に入った味付き「クラフト バジルフレッシュモッツァレラ」を発売。男性ユーザーがおつまみとして購入するなど、食シーンが広がっている。同社では、手軽に1品料理がつくれることを訴求するため、話題性のあるイベントやキャンペーン、レシピ提案などを下期に向けても行っていく。
新しい価格が定着したことで需要が戻り始めているカマンベールチーズ。明治では24年上期に期間限定商品やチーズ専用スパイスを添付した商品を発売したことで、同社の「明治北海道十勝カマンベール」シリーズは好調に推移している。
下期に向けては、チーズ専用オイルを開発し、オイルとチーズのマリアージュが楽しめるキャンペーンを実施。店頭と連動させることで売上拡大につなげていく。