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「個性」と「物語」を競争軸に日本のビールの魅力化をめざす!「サッポロ生ビール黒ラベル」

2022年春・夏 売上伸長率ランキング【ビールカテゴリーカテゴリーNo.1】サッポロビールサッポロ生ビール黒ラベル

外部環境が厳しさを増すなかでも、継続成長を遂げているサッポロビールの「サッポロ生ビール黒ラベル」。その要因は、「大人エレベーター」のテレビCMに象徴されるように、独自の世界観を表現してきたことにある。同社では、今後も「個性」と「物語」を競争軸に、ビールの魅力化に貢献していく。

45周年を迎えた黒ラベルが
ビールカテゴリー内伸長率No.1*

 各社がスタンダードビールの攻勢を強める激戦のビールカテゴリーで、伸長率No.1*となったのがサッポロビールのロングセラーブランド「サッポロ生ビール黒ラベル(以下、黒ラベル)」だ。

 「発売から45 周年を迎えた2022 年、『黒ラベル』は中味もパッケージもリニューアルしました。“生のうまさ”へのこだわりをよりいっそう進化させ、缶体デザインもより洗練されたものにブラッシュアップ。これに伴い、さまざまな取り組みも行いました」と話すのは、マーケティング本部ビール&RTD 事業部サッポロ生ビール黒ラベルブランドマネージャーの齋藤愛子氏。

 まず、「黒ラベル」の誕生日である4月1 日に合わせて、「黒ラベル」のファンサイトである「CLUB 黒ラベル」を一新し、コンテンツを強化。その目玉として、初のEC ショップをオープンした。興味深いのは、「黒ラベル」自体を販売するのではなく、「黒ラベル」が発信する世界観を体現するような限定品やブランドオリジナル商品を扱っていることだ。たとえば、ビールの製造過程で出る副産物でつくられた“アップサイクルジーンズ”や生ビールをよりおいしく楽しめるこだわりのツールなどが販売されており、話題を呼んでいる。

 一方で、7 月には東京・銀座で3 年ぶりにリアル体験イベント「SAPPOROBEER PREMIUM EXPERIENCE(サッポロビール プレミアムエクスペリエンス)」を開催した。外食の楽しさや乾杯のすばらしさを改めて実感してもらうことを目的としたもので、「黒ラベル」をはじめとする同社のビールブランドが勢揃いし、大盛況となった。また、音楽フェスへの協賛を再開し、「パーフェクト黒ラベル」の飲用体験の場も復活させた。

 「コロナ禍ということもあって、デジタルを活用したコミュニケーションが増えましたが、コロナ禍だからこそ、リアルの価値も見直されています。今後は、デジタルとリアルを組み合わせたアプローチがより重要になってくると感じています」(齋藤氏)。

若年層を中心に独自の世界観に共感

 ロングセラーブランドとして、継続して飲用するファンがいる一方で、常に新しいユーザーを獲得し、ブランドの鮮度感を保ち続けている「黒ラベル」。その魅力はいったい何なのか。

 「生ビール本来のおいしさにもこだわっていますが、それに加えて『黒ラベル』ならではの世界観をもち、それを大事にしているブランドの姿勢が若い世代を中心に共感を得ているのだとみています」(齋藤氏)

 「黒ラベル」が発信する世界観といえば、真っ先に頭に浮かぶのが「大人エレベーター」のテレビCM だ。自分らしく生きる格好いい大人たちが登場し、そうした大人たちとともにあるビールとして「黒ラベル」が描かれ、大人への憧れを育んでいる。2010 年にスタートしたシリーズは高い評価を獲得し、今も継続展開する人気CM だ。

 だが、そこに至るまでは紆余曲折があったという。発泡酒や新ジャンルが登場して逆風が吹くなか、どうコミュニケーションしていくか。そもそも「黒ラベル」の強みは何なのか。試行錯誤の末にたどり着いたのが、独自の競争軸をつくることだった。

 「顧客調査を行うと、こだわりをもって『黒ラベル』を選んでいるお客さまが多いことがわかりました。これを価値に変えられないか。そこで、こだわりのある大人が意志をもって選ぶブランドになるようなマーケティングに舵を切ったのです」(齋藤氏)

家庭用・業務用連動のキャンペーンで、さらなる「黒ラベル」のファン獲得とファン化の促進を狙う

 味や価格ではなく、世界観を競争軸に――。思い切った戦略変換だったが、粘り強く続けていくことで次第に受け入れられ、現在の成長につながっている。まさに「お客さまの中に答えがあった」というわけだ。実際、「黒ラベル」という名も顧客が名付け親だ。もともと「サッポロびん生」という商品名で発売されていたが、「黒ラベル」という愛称で親しまれていたことから、1989 年に正式に商品名となったという歴史がある。とことん顧客の声を聞いて、顧客と共創する。そのブランド姿勢は今も変わらない。

3月上旬より新CM投下
新たなアプローチ続々

2022年10月にはディスプレイコンテストを実施。2023年3月にもディスプレイコンテストを実施して、店頭露出の最大化を図る

 コロナ禍を機に、消費者の生活意識や行動が変化し、モノを購入する際の判断基準も変わりつつある。単に、売れているからといって反応するのではなく、自分にとってどんなことをもたらしてくれるのか。商品のスペックはもとより、企業やブランドがどんなポリシーでメッセージを発信しているのかを選択基準にして、それに共感してモノを選びたいと考える消費者が若年層を中心に増えている。こうしたモノの選び方の変化は「黒ラベル」にとって追い風であり、絶好のチャンスだと齋藤氏は断言する。それゆえ、2023年はさらなる成長をめざし、独自のビールマーケティングを強化していく考えだ。

 「生のうまさの体験機会を増やしていくとともに、独自の世界観への共感を醸成していきながら、既存のお客さまの熱狂的なファン化と新しいお客さまの獲得を推進し、成長を加速させていきたいと考えています」(齋藤氏)

 その足がかりとして、3月上旬より新たなテレビCM を投下する。好評の「大人エレベーター」を継続させながら、ブランドに新たな刺激を与えるためのチャレンジだ。具体的には、「黒ラベル」ブランドのキーメッセージである「丸くなるな、☆星になれ。」の真意をひもとくような内容になっている。世間にこびたり、人の目を気にしたりして生きていくよりも、自分がいいと思ったことを貫いて、こだわりをもって生きることを「黒ラベル」は応援していく。そんなメッセージを込めているという。

新CMと「丸くなるな、☆星になれ。」のキービジュアル

 これに合わせて、新CMと連動したデザイン缶を登場させるとともに、飲食店と家庭用の缶商品を連動させた新キャンペーンも開始する。飲食店で飲んだ味を家庭でも味わってもらうというサイクルを回し、「黒ラベル」の体験機会を増やすのがねらいだ。

 「酒税の一本化に向けて、私たちは日本のビールをもっと魅力的なものにしていきたいと考えています。そのけん引役が『黒ラベル』。『個性』を磨き、『物語』を紡いで、独自の競争軸でビールの魅力化に貢献していきます」(齋藤氏)

*KSP-POS(食品SM)にて、「ビール」カテゴリーにおいて金額構成比1% 以上の商品を対象に、2022年4 月~ 9 月までの金額増減率を抽出。CGC 商品と対象期間の前年4 月までに出現のない商品は除外