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植物性ヨーグルト市場、間口の拡大によるトライアル・新規ユーザー獲得を

健康志向を背景に需要が拡大した植物性ミルクとともに伸長が続いていた植物性ヨーグルトのカテゴリーだが、物価高騰の影響もありここに来て成長が鈍化している。市場を再活性化するためにはトライアルによる新規ユーザーの獲得が必要不可欠となる。

4年連続で成長するも、今期はマイナスに転じる

 インテージSRI+によると2022年4月から23年3月の植物性ヨーグルトカテゴリーの販売容量は対前年同期比7.3%減の6471kl( キロリットル)となった。

 同カテゴリーの5年間の推移を見ると、18年以降、22年3月まで右肩上がりに成長していたが、物価高による生活防衛意識の高まりもあり、22年4月以降数字を大きく落としている。

 また月別の販売容量推移を見てもすべての月で前年割れであり、特に春先の4月から6月は10%近いマイナスとなっている。

健康志向を背景に需要が拡大した植物性ミルクとともに伸長が続いていた植物性ヨーグルトのカテゴリーだが、物価高騰の影響もありここに来て成長が鈍化している。(i-stock/Tatyana Berkovich)

 欧米では健康や環境への配慮から動物性食品の摂取を減らしたいと考えるヴィーガン志向の消費者が増えており、植物性ミルクやプラントベースミートといった植物由来の食品が市場で定着。この流れを受けて日本でも植物性食品に興味を持つ消費者が増えている。

 植物性ヨーグルト市場の大部分を占めるのが豆乳を乳酸菌で発酵させてつくる豆乳ヨーグルトだ。乳酸菌や大豆イソフラボン、食物繊維といった栄養素が手軽に摂取でき、コレステロールゼロで低カロリーである点が最大の特長となっている。またポッカサッポロフード&ビバレッジの「GreenBioアーモンドミルクヨーグルト」のような豆乳以外の原材料による植物性ヨーグルトも登場している。

 以前は乳製品アレルギーを持つ人や健康美容の感度が高いコアファンに支えられていた植物性ヨーグルトだが、近年はTVの情報番組で取り上げられるなど露出が増えたことで、一般消費者の認知も広まっている。

店頭での露出を増やし、トライアルを促す

 植物性ヨーグルトの主要メーカーでは、更なる需要拡大に向けさまざまな商品・プロモーションを展開している。

 ポッカサッポロフード&ビバレッジの「SOYBIO豆乳ヨーグルト」はすっきり飲みやすいこだわりの豆乳を発酵させることで、酸味が少なくクセのない味わいを実現した植物性ヨーグルト。同ブランドでは昨秋、大豆プロテインを8g入れた個食タイプの「SOYBIO豆乳ヨーグルト SOYPROTEINプレーン加糖」「同アロエ」を発売。今春は味のブラッシュアップを行い、健康志向のユーザーに訴求する。

 フジッコでは「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株)」を使用した、乳成分不使用の植物性ヨーグルト「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト400g」を23年3月に新発売した。

 マルサンアイの「豆乳グルト」は豆乳を植物由来の乳酸菌「TUA4408L」で発酵させた豆乳ヨーグルトのロングセラーブランド。春夏は「植物由来の乳酸菌で ハッピーキャンペーン」を実施し、ロイヤルユーザーの醸成に努める。

 順調に市場が拡大してきたとはいえ植物性ヨーグルトの認知率はまだ低く、乳由来のヨーグルトに比べ価格も高めで商品ラインアップも少ない。店頭でも健康的価値を伝える販促物を付けたり、植物性ミルクとの関連販売を行うことで露出を増やし、トライアルを図ることで需要の拡大につなげていきたいところだ。