昨今、生鮮部門で扱う素材を使った「生鮮総菜」の取り組みが食品スーパー(SM)各社で拡大している。生鮮総菜が持つ可能性、現状の総菜部門との相乗効果、拡大にあたっての留意点を整理する。
「生鮮の総菜化」に欠かせない4つの軸
筆者は長年、SMにおける販促立案やメニュー提案に取り組むなか、実際店頭で「自慢の生鮮素材」を自ら訴求し売上、利益貢献し、さらにコンサルタントとして提言もしてきた。
まずすべきことは「おいしそうでシズル感ある売場展開」である。売り込みたい素材の横で試食メニューを提供し、素材の味のよさ、こだわり、調理法などを伝えていく。すると興味を持った顧客は「おいしいから家でつくってみるわ」とレシピカード片手に買ってくれる。ただ、「つくってみるわ」という声と同じくらい、こんな言葉もかけられてきた。「こんなに美味しいなら、お総菜にして売ってよ」と。ずっとこうした声があったのだから、顧客ニーズが以前に増して多様化する今日、「生鮮の総菜化」は必須の取り組みといえるだろう。
とはいえ、取り組むうえでは多くの課題もあり、一つひとつ整理し解消しながら進めていかなければならない。そこで本稿では
①生鮮総菜の定義づけ
②原料調達
③製造および売場展開の手法
④「売れる生鮮総菜」を開発するためのヒント
の4点を軸に述べていく。
生鮮総菜の定義を社内で明確に
ここでは総菜部門が従来扱ってきた商品群を「従来総菜」と呼ぶこととする。そのうえで、生鮮総菜が従来総菜と比べて何が違うのかについて整理したい。
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