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低カロリー甘味料市場、間口・奥行きが広がったことで、堅調な市場拡大が続く

継続的な拡大を続けている低カロリー甘味料市場。コロナ特需が一巡した後も堅調に推移している。新規ユーザーの拡大に加え、日常的に使用する人が増えたことで、間口・奥行きともに広がっているようだ。

コロナ特需以降も微増傾向が続く

 コロナ禍における内食機会の増加や健康意識の高まりにより低カロリー甘味料市場は伸長が続いている。KSP-POSデータの低カロリー甘味料の期間通算(2021年9月~22年8月)の金額PIは、913円で対前年同期比4.4%増となっており、月別金額PIではすべての月で前年を上回った。

継続的な拡大を続けている低カロリー甘味料市場。コロナ特需が一巡した後も堅調に推移している。(i-stock/maruco)

 ただ、5月~8月の金額PIは微増だが、数量PIでは前年割れとなった。これは6月の値上げによる影響が大きい。さまざまな食品の値上げが行われているが、高額商品から控える傾向にあるようだ。

 また、6月頃から首都圏などの各地でコロナ感染者が増加傾向にあったことから外出を控える人が増え、来店頻度が下がったことも一因と予想される。低カロリー甘味料は継続的に使用する人が多いことからこれは一時的に需要が下がっただけで、引き続き市場は堅調といえそうだ。健康意識の高まりから今後も拡大が予想されるため、日常的に使えるレシピ提案を行っていく必要がある。

植物由来の原料を使用した新製品が続々

 形状タイプ別に見ると、砂糖の代替として使用する人が多いため、顆粒タイプが中心になる。サラヤの「ラカントS顆粒」は、糖尿病リスク者はもちろん、美容や健康に関心の高い若い女性からも支持され順調な拡大を続けている。

 味の素では、この秋に植物由来の原料のみを使用し、カロリー50%カット(同じ重さの砂糖との比較)した「パルスイート®植物由来」を新発売。ステビアを主原料にとうもろこしやキャッサバなどを由来とした100%植物由来の甘味料を使用した。砂糖に近いコクや濃厚感のある、おいしい甘さを実現した。同社では実際に味わってもらうため、発売に合わせて5万人規模のサンプリングを行っている。

 日本リコスでは糖類不使用・100%植物由来の「ステビアヘルス」を展開。砂糖と同量の使用で同じような甘さになるように、ステビアに含まれる複数の甘味成分を調整し、さらにタマネギなどに多く含まれるイヌリン(不溶性食物繊維)を配合した。より上白糖に近いすっきりとした甘さの〈ホワイト〉と、黒糖のようなコクを感じられる甘さの〈ブラウン〉の2種類をラインアップしている。

 この秋には機能性表示食品の「ステビアヘルス イヌリンプラス」を新発売。従来品よりイヌリンの配合を5倍以上に増やした商品だ。砂糖の代わりに使うことで、糖質を抑えながら、従来品よりも腸活に効果を発揮する。

 溶け残りが少なく、使いやすい液体タイプでは、味の素の「パルスイート®カロリーゼロ液体タイプ」が市場をリード。ブランドの情緒価値を伝えるTVCMを投下して、新規ユーザー獲得を図っている。サラヤではこの春に「ラカントSシロップ」をリニューアル。原料の配合バランスを見直し、羅漢果の風味を生かしたすっきりとした甘さに仕上げた。

 冷たい飲み物や料理などにも使いやすい液体タイプはその価値が浸透していないため、引き続き、店頭で訴求していく必要がありそうだ。