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スパイス&ハーブ市場、前年の反動はあるものの堅調に推移 練りスパイス・シーズニングが牽引

家庭での調理機会の増加で、需要が一気に拡大したスパイス市場。その反動で2021年は微減となったが、19年対比では確実に成長している。スパイスを使うことで料理がワンランクアップすることが浸透していることから、引き続き、継続購入につながるレシピ提案が求められている。

生鮮からの代替が進み、練りスパイスは好調が続く

 KSP-POSデータによると、スパイスの期間通算(2021年6月~22年5月)の金額PIは、6280円で対前年同期比0.1%減。月別金額PIを見ても大きく落としている月はないため堅調な推移といえる。コロナ禍による在宅時間の増加で、家庭で複数のスパイスを組み合わせた料理に挑戦する人が増えていることでスパイス市場は好調だ。

パイスを使うことで料理がワンランクアップすることが浸透していることから、引き続き、継続購入につながるレシピ提案が求められている。(i-stock/coldsnowstorm)

 カテゴリー別に見ると、練りスパイスが好調をキープしており、期間通算の金額PIは3148円で同1.9%増となった。練りスパイスは、その利便性と保存性のよさから生鮮素材からの代替が進んでおり、定番の「わさび」や「しょうが」のほか、「にんにく」が急成長。マスク着用で、にんにくのにおいを気にせず使えるようになったことから使用が促進されている。とくに通常サイズの約4倍の大容量サイズの発売により、成長を加速させている。

 エスビー食品では練りスパイスのバラエティー化を進めており、とくに「きざみ」シリーズのラインアップを充実させている。この春は、辛さへの嗜好の多様化に対応して、粗切りによって粒立ちがしっかりした爽やかな辛さの「ハラペーニョ」を新発売。同社ではチューブ調味料のブランドサイト「チューバースタイル」を立ち上げ、チューブ調味料の活用を促進している。

メニュー専用シーズニングは毎年伸長が続く

 近年のスパイスカレーブームに加え、コロナ禍の調理機会の増加で洋風スパイスも堅調だ。期間通算の金額PIは765円で対前年同期比5.1%減。月別金額PIでは6月~9月までは前年を上回って推移しているが、10月以降は前年割れで、5月は2ケタ減となった。これは前年の反動によるところが大きい。洋風スパイスでは、カレーに使用するターメリックやクミン、コリアンダー、カルダモン、ナツメグなどのスパイスが人気だ。エスビー食品では、小容量で値頃感がある「スマートスパイス」をこの春にリフレッシュ。アイテムカラーを強調し、商品名と素材が伝わりやすいパッケージデザインで、店頭での視認性をアップした。洋風スパイスのエントリーユーザーを取り込んでいく。

 一方、スパイスやハーブ、塩などをブレンドしたシーズニングは依然好調で、期間通算の金額PIは405円で同7.1%増となった。とくに市場を後押ししているのがメニュー専用シーズニング。家庭での調理機会が増え、毎日の献立に悩んでいる人は多い。そうした中メニュー専用シーズニングなら、選ぶだけでその日の献立が決まるため、利用する人が増えている。

 またコロナ禍で海外旅行ができないため、旅する気分で選べる世界のメニューが品揃えされたエスビー食品の「SPICE&HERBシーズニング」が好評だ。ハウス食品では、アジアの屋台メニューが手軽につくれる「アジアン屋台街」や、家飲みのおつまみに最適な「スパイスクッキングバルメニュー」などを展開している。

 スパイスを上手に使うことで料理がおいしくなるだけでなく、減塩にもつながるため、健康訴求でトライアル獲得を図りたいところだ。