少子高齢化を背景に、国内マーケットが中長期的に縮小していくと予測されるなか、食品小売のパイを巡る競争は激化の一途をたどっている。本稿では、食品スーパー(SM)や総合スーパー(GMS)、コンビニエンスストア(CVS)などの大手食品小売企業・グループのほか、ディスカウントストアや近年食品強化を推し進めるドラッグストア(DgS)など、食品小売の主要プレーヤーの占有率をグラフ化してみた。
上位10グループのシェアは36.4%
経済産業省の「商業動態統計」によると、2023年(1~12月)の業種別商業販売額のうち「飲食料品小売業」の合計額は、対前年比6.3%増の48兆3790億円だった。
同じく商業動態統計で発表している23年の業種別商品販売額では、「スーパー(※注)」が同3.3%増の15兆6492億円、「コンビニエンスストア」が同4.4%の12兆7320億円だった。なお、「ドラッグストア」の商品販売額は8兆3483億円で、そのうち「食品」の販売額は同12.3%増の2兆6870億円と2ケタの伸びを示している。
23年は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられたことで外出の機会が大きく増加し、経済が正常化に向かった1年だった。また、コストプッシュインフレで食品の値上げが続き、価格転嫁が順調に進んだことで食品小売マーケットは大きく拡大した。
図表は、前述の商業動態統計「飲食料品小売業」の販売額を食品小売の市場規模とし、そこに食品小売チェーンの食品売上高をプロットしてマーケットシェアを示したものだ(一部企業は食品売上高を開示していないため、売上高の数値を使用)。
上位10グループの合計食品売上高は17兆6182億円で、食品小売市場に占めるシェアは36.4%だった。なお、本誌「市場占有率」特集は例年5月1日号で行っていたが、24年から10月1日号に移動している。これに伴い、一部の企業および団体の数値を最新期のものに更新しており、前年との単純比較はできない。また、イオン(千葉県)グループについては主要企業を追加しているため、グループ合計のシェアが前年より大きく上昇している。
ただ、国内最大の流通グループであるイオングループであってもそのシェアは12.1%、次点のセブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)のシェアも9.5%にとどまっている。積極的にM&A(合併・買収)を展開するイオングループの存在感がじわりと大きくなっているものの、食品小売マーケットは大手企業による寡占化はそれほど進んでいないと言っていい。
※注:総合スーパーを含まない。売場面積の50%以上についてセルフサービス方式を採用している事業所であって、かつ、売場面積が1500平方メートル以上の事業所
シェアトップはイオン、来年度はさらに躍進か
上位グループ・企業の動向を見ていこう。食品小売市場のトップシェアを握るのがイオングループだ。主要15社合計のシェアは
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