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ストア・オブ・ザ・イヤー2024を発表!今、行くべき店はこの店だ!全42店舗掲載

コロナ禍が収束し、人々が日常生活を取り戻した今、リアル店舗はあらためてその価値を問われている。外部環境では、店舗間競争の激化や、建築費をはじめとした各種コスト増、EC化など、店舗開発において逆風となる要素が山積している。そうしたなか本特集では、果敢に消費者の心をつかむ店づくりを実践している、視察に訪れたい「今、行くべき」店を挙げ、解説する。全2部構成で、パート1では「STORE OFTHE YEAR 2024」の入賞店舗を掲載、パート2では業界の注目テーマに沿って、その先端をいく14店を厳選し紹介する。

決定!「STORE OF THE YEAR 2024」

●選考基準
2023年1月1日から12月31日までに開業・リニューアルした店舗、商業集積、専門店で、インパクトがあり、これからの店舗開発に影響を与えるような斬新なコンセプトを持つものであること

●選考方法
本誌の定期購読者、小売企業広報担当者、有識者、その他の小売業関係者からFAX、インターネットにて投票を受け付けた(期間:2024年1月30日から2月13日)

●順位決定
読者、小売業関係者、有識者、本誌編集部などの投票により総合順位を決定した

※写真・記事は、取材時のものをベースにしているため現状とは異なる場合があります

初進出地や注目エリアに渾身の店舗で勝負!

 コロナ禍を経て、人々の買物行動は新たな局面を迎えている。高まる節約志向や、円安により海外旅行を控える人が多いなか国内でのおでかけ需要やおうち需要の高まり、共働き世帯の増加などを背景に、いわゆる“タイパ”を重視する人が増えるなど、現在の複雑なニーズを正しくつかみスピーディに対応することが求められている。また、食品を強化するドラッグストアが積極出店を進めるほか、着実に進むEC化など、業態を超えた競争も激化している。

 こうしたなか食品小売業店が生き残っていくには、これまで以上に自社ならではの強みを発揮し“選ばれる店”になる必要がある。“選ばれる店”とは、品揃えや価格、店づくりによって、ほかにはない買物体験を提供し来店動機を創出できる店である。本特集では、そうした店づくりのヒントを提示したい。

 まず、パート1では今年で第37回を迎えた本誌恒例企画「STORE OF THE YEAR」で入賞を果たした店舗と商業集積、専門店を発表し、評価を得た理由を解説していく。

 今回、栄えある1位に輝いたのは、オーケー(神奈川県)の「オーケー銀座店」だ。東京の高級店街の“一等地”にオープンし、さらには「地域一番の安値」の価格政策を変わらず実践したことから全国的に報じられ話題となった店舗だ。

 同店は、「銀座店限定」商品も多く投入したほか、店舗周辺に多い飲食店のニーズや訪日観光客への対応も強化したのが特徴だ。多くの業界関係者が同店を実際に訪れたようで、「高品質・Everyday Low Price」を追求する姿勢や、新たに挑戦した商品や売場づくりが、業界に大きなインパクト与えたようだ。

店舗部門1位の「オーケー銀座店」

 2位は、ベルク(埼玉県)の「クルベ江木店」だ。同社のディスカウント型新フォーマットの1号店でさまざまな試みに挑戦。生産性、収益性の高いベルクだからこその、買物の楽しさも提供するディスカウント型フォーマットに評価が集まった。

 僅差で3位だったのが、ライフコーポレーション(大阪府)の「セントラルスクエアららぽーと門真店」だ。半径10km圏内からの広域集客にも挑戦。ライブ感と非日常的な楽しさを演出する店づくり、商品開発で多くの票を得た。

 ほかにも10位以内では、「原信燕店」(6位)や「ヤオコートナリエ宇都宮店」(8位)、「サミットストア川口青木店」(9位)など上位常連の有力スーパーが実力を見せる一方で、和歌山県初出店の「万代紀伊川辺店」(4位)や、北海道日本ハムファイターズの新本拠地球場近くにオープンした「コープさっぽろ きたひろしま店」など、初進出地や注目エリアで各社が総力を結集させた店舗もランクインしている。

三井不動産の強さとHC企業の活躍目立つ

 商業集積部門の1位は、三井不動産(東京都)の「三井ショッピングパーク ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真」だ。同社は2連続で同部門1位を獲得しており、施設開発力の高さを見せつけた。同施設は、同社初となるSC業態とアウトレット業態のハイブリッド型商業施設で、2つの業態を複合させることで高い利便性を発揮している点が称賛された。

商業集積部門1位「三井ショッピングパーク ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真」

 続く2 位は、ホームセンター(HC)企業であるジョイフル本田(茨城県)の「ジョイホンパーク吉岡」で、HCを核に、幅広い業態を集積し、見事にエンターテインメント性あふれる施設開発を行っている。3位はイオンリテール(千葉県)の「そよら湘南茅ヶ崎」だ。同社が積極開発を進める都市型SCの新フォーマットであり、地域に密着して日常需要を深掘りする業態として高評を得ている。

 専門店部門の1位は、HCのハンズマン(宮崎県)による「ハンズマン松原店」だ。九州地方で高い人気を誇る同社がオープンした本州1号店で、ハンズマン最大となる約6000坪の売場面積に約28万SKUの商品を集積。圧倒的な品揃えと来店客に感動を与える店づくりに多くの票が集中した。

門店部門1位「ハンズマン松原店」

 第2位は成城石井(神奈川県)のパンと焼き菓子に特化した新業態「成城石井BAKERY」、第3位はドン・キホーテ(東京都)のPB特化店「ドミセ渋谷道玄坂通ドードー店」と、有力企業が強みを生かした新業態が上位入りを果たしている。

海外の注目ストアに高い集客を誇る道の駅も

 パート2では、5つのテーマを挙げて、その先端をいく店を編集部で厳選した。

 まず、コロナ禍が収束し海外視察も回復していることから、海外の注目ストアとして台湾・台中の「三井ショッピングパーク ららぽーと台中」と、米国ニューヨーク州マンハッタンの「ウェグマンズ アスタープレース店」を紹介。なかでもららぽーと台中は急成長中のロピア(神奈川県)が海外1号店を出店しており、現地取材によりその店づくりをレポートする。

台湾・台中エリアにオープンした「三井ショッピングパーク ららぽーと台中」
核店舗にはロピアが出店している

 次に「わざわざ訪れたくなる」存在になるヒントを提示している事例として、好きな道の駅ランキングで2年連続全国1位を獲得している「川場田園プラザ」と、豊洲市場隣接地にオープンした「温泉施設」×「食スポット」の複合商業施設「豊洲千客万来」を取材。それぞれ、従来の枠にとらわれない徹底した顧客目線による商品開発、異色のコンテンツの組み合わせによって、存在感を発揮している。

 また、成長カテゴリーとして冷凍食品の専門店開発が活発化するなか、プロの料理人による「ライブキッチン」で食べ方提案を行うなど、一歩進んだ提案を実行する店として京阪百貨店(大阪府)発の「5.0°F」を紹介する。

「ライブキッチン」で食べ方提案も行う冷凍食品専門店「5.0°F」

 最後に、最新トレンドがわかる、専門家いちおしの総菜、パンの専門店もピックアップした。商品開発や提案の参考になれば幸いだ。

 本特集に登場する店に共通するのは、変化の局面に商機を見出し、自ら需要開拓に取り組んでいる点だ。加速度的に変化する時代に、食品小売店にはこれまで以上に先を読んで需要を見出す先見性と変化対応力が求められている。

 是非、本特集に登場する店に足を運び、その取り組みと姿勢を体感してほしい。

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